出版社内容情報
古代民主制国家の下で発展したギリシア弁論術の精華.著者は弁論術を,あらゆる場合にその問題に見合った説得手段を見つけ出す能力――と定義,師プラトンが経験による〈慣れ〉にすぎないとした従来の弁論術も,その成功の原因を観察し,方法化することによって〈技術〉として成立させ得ると主張する.明解で読みやすい新訳.
内容説明
アリストテレスは弁論術を「どんな場合でもそのそれぞれについて可能な説得の方法を見つけ出す能力」と定義、プラトンが経験による〈慣れ〉にすぎないとした従来の弁論術も、その成功の原因を観察し方法化することによって〈技術〉として成立させ得ると主張する。後世の弁論術、修辞学に大きな影響を与えたギリシア弁論術の精華。
目次
序論―従来の弁論術と技術としての弁論術
弁論術の定義
弁論術の種類
議会弁論
幸福
よいもの
より大なる善・利益
国制
演説的弁論
法延弁論
快楽
不正をなす者と蒙る者〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
lily
148
国語の教科書にプレゼン力、知性で相手を圧倒させたい時、もうこの一冊で不足無し。目次だけ眺めてもそこらのビジネス書の100冊分は盛り込まれていることが一目瞭然。こそっとこの本をコピペした本で溢れかえっていること推測容易だし、これだけの密度でこの弁論術を越える本を探すのは難しいだろう。5W1H×感情分だけ解決法が存在するので。後は、アウトプットして練習を積むのみ。読書感想文は最適。2019/07/22
のっち♬
122
政界から保身まで需要の高まった弁論術。著者はプラトンの様な非難はせず、必然性に基づく弁証法と対比させて蓋然性をいかに説得性へ変換できるか技術としての体系化を試みた。言論を基盤としつつ聴き手に与える心理的効果も重視。文体、リズム、声色、比喩、演技、誇張、偏見の上塗り(効果的な中傷法)、段取りなど実例に裏付けされた実用書。未洗練な文章や矛盾が気にならないでもないが、如何なる分野も学問家する著者の気概が十分伝わる。言論を真理探究だけでなく表現・コミュニケーションのツールとしても分析できるキャパは画期性があった。2023/05/05
イプシロン
26
本著を読むなら、「本来の(弁論術の)仕事が説得をなしとげることにあるのではなく、それぞれの問題にふさわしい説得の方法を見つけ出すこと(技術=テクネー)だ」という弁論術の“目的”を熟知して全編を読む姿勢が肝となろう。つまり、弁論術とは聞き手を説得することを目的としているのではなく、最良の説得方法を模索し、実際に言論によって(結果の如何に関わらず)実践することにあると理解して読むべきなのだ。したがって、弁論術をもって(説得に成功する)結果を出す方法という手段のための手段を求めるなら、本著を読む意味はない。2023/12/17
アミアンの和約
14
哲学書というより技術書といった本。役立つ部分もあるが、アリストテレスが念頭に置いていたのはポリスの中での議論の仕方なので、そのままでは使えないだろう。2024/02/12
Z
14
説得の技術。アリストテレスは議論の組み立てかなりしっかりしてて、結構すき。実はこの本はそんなに面白くなかったが、論を聞 かせる相手の類型、若者、壮年、年寄りの心理的な傾向の分析、説得するのに用いたほうが有利な感情の分析といい、説得というのは論理だけでなくこういった視点も含めなくてはいけないのかと学べた。この本よりも、論理学の著作の文庫化してほしいなぁ、。2018/01/28