出版社内容情報
巻には西部劇や映画とエロティシズムの考察、イタリアのネオレアリズモを擁護した論考を収録。映画と文化を論ずるさいの源泉。(全二冊完結)
内容説明
映画批評で新時代を開いたアンドレ・バザン(1918‐1958)。下巻には典型的なアメリカ映画である西部劇や映画とエロティシズムに関する考察、デ・シーカやロッセリーニらイタリアのネオレアリズモを擁護した論考を収録する。作品との緊張に満ちた対話を続けた本書は、今もなお映画と文化を論ずる際の源泉である。
目次
16 西部劇、あるいは典型的なアメリカ映画
17 西部劇の進化
18 模範的な西部劇、『七人の無頼漢』
19 『映画におけるエロティシズム』の余白に
20 映画におけるリアリズムと解放時のイタリア派
21 『揺れる大地』
22 『自転車泥棒』
23 監督としてのデ・シーカ
24 偉大な作品『ウンベルト・D』
25 『カビリアの夜』あいるはネオレアリズモの果てへの旅
26 ロッセリーニの擁護―「チネマ・ヌオーヴォ」誌編集長グイド・アリスタルコへの手紙
27 『ヨーロッパ一九五一年』
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しゅん
10
下巻は個別作品への論考が多めに収録されていて、映画好きには上巻以上にグッと来るのではないか。リアリズムはあくまで作品の美学に基づくもので「本物らしさ」と混同してはいけない、という論理からネオリアリズモ映画の意義を探る論考群が素晴らしい。「現実を尊重するということは現実の外観を積み重ねていくことではなく、その反対に、現実から本質的でないものすべてを取り除くことであり、簡潔さの中で全体性に到達することなのです」。なんて蠱惑的な言葉だろう!デ・シーカについて語る時の口調は熱過ぎて泣けた。『自転車泥棒』観直そう。2017/01/22
ラウリスタ~
10
上は面白かったのだが、下に収められている文章は、個別的な映画、特にアメリカの西部劇映画や、イタリアのネオレアリズモ映画について書いているため、どちらもほとんど見たことがない人からすれば興味が涌かない。そもそも、この本は、各所雑誌のために書いた細切れの文章を集めた本から、面白い章を集めたものだから、個別批評になる下が退屈なのも当然なのだが。2015/04/22
乙郎さん
9
西部劇からイタリアのネオリアリズモへ。現在私たちが考える「批評」のかたちにより近づいているような印象。それはソリッドさを増したということなのか。50年代前半のイタリア映画という隆盛ーこの「時代」に則している感じがとても良かった。2024/01/16
Happy Like a Honeybee
9
唯一にして真の批評家(ゴダール)下巻は更に鋭い考察。特に戦後イタリアにおける、ネオレアリズモの章は後世に語り継がれるだろう。 優れたシナリオ、映像、音響を駆使しても不朽の名作と呼ばれる映画は創造しえない。デ・シーカ「自転車泥棒」はあえて即興性を導入する事で、現代でも印象的な作品となった。 隠れた名作が市場で高騰するのは嘆かわしい。もっと普及しないと2016/02/23
かふ
7
ハリウッドのカット割り(編集作業)はスペクタクルを生み出すが映画のリアリズムから離れていく。イタリアのネオリアリズモの監督たちの作品を観ながらバザンが求めた「映画とは何か」を改めて考える。2015/11/04