• ポイントキャンペーン

岩波文庫
伽藍が白かったとき

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 400p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003357019
  • NDC分類 302.53
  • Cコード C0170

内容説明

1935年、初のアメリカ旅行で、摩天楼に「美しい破局」を見たル・コルビュジエ(1887‐1965)。機械文明とTime is money!の国で彼は西欧を省みる―中世伽藍が新しかった時、人々の気迫と手仕事がなした偉業を。第2次大戦前に出た本書は、新しい文明と都市計画を模索し、建築という時代表現に自然と人間を呼び返す。生誕120年、新鮮な旅人の、甦る名著。

目次

第1部 環境(事物の偉大さ;精神の頽廃;真実の性質)
第2部 U・S・A(世界の都市;私はアメリカ人です;フランス‐アメリカ;精神の探索と表白;共同のプランと仕事の必要)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

浅香山三郎

16
『輝く都市』などでも、都市計画といふ規模での建築家の仕事を説く著者が、古いフランスと新しいアメリカをどう評するか。人間の住む住宅や仕事場を集約して、公園的な空間を増やせといふ都市計画のプランは、「摩天楼は小さ過ぎる」といふ主張だけ見れば過激に見へる。しかし、著者の言ひ分が、文明の新しい局面(調和の時期、機械が人間に仕へる時期)を見通した都市プランの必要性といふ点に力点があつたことに注意すると、ニュータウンの建設の思想にも繋がる側面が見へてくる。発想にベースを置く、個性的な文体がいかにも建築家らしく感じた。2019/08/18

どらがあんこ

10
ただアメリカの摩天楼を批判するのでなく、そこに 美しさを見い出せているのが面白い。破局といえどそれは仙境的破局なのだ。同名の章で著者は友人のアパートの屋根からニューヨークの夜景を全身で受ける。その描写 は示唆に富む。身を護るものとしての建築、とは普段意識しないほど当たり前のことであるが、そこに澘む抑圧を暴き著者はこう述べる。「願はくはそこに、人間的なものが書き入れられんことを。」建築を通して振り返らなければいけない点は私たちにも多いのではないだろうか2018/10/12

壱萬弐仟縁

5
1937年初出。著者によるサインはアラビア語のような雰囲気(9頁)。たまにゴシック太字の単語が現れる。フランスの描写。建築への熱意。伽藍が白かったとき、世界全体が、一つの文明の行動と未来と調和ある創造とにたいする大きな信念によって高揚されていた(59頁)。著者は、調和と美と造形の命令にしたがう(66頁)と、本を書くのが嫌いだといいながらも吐露する。真の文化は、新しい色や白い布、清らかな芸術に現われる(92頁)。習慣は民族の性格の輪郭をえがく(180頁)。建築は社会の鋳型であり、人間の避難場所(210頁)。2013/05/31

Tomoichi

4
ル・コルビュジェのアメリカ旅行からアメリカ・ヨーロッパ・建築・都市計画について語るエッセイ。訳者はフランス語独特な表現に苦労されたと思いますが読みづらい文章なので、「あとがき」を読んでから本文へ進むことをオススメします。2014/10/11

引用

2
特に文体から、作家としての建築家像をよく流通させたエッセイだと思う、フランス人によるアメリカ論として読むとかなり分かる2021/05/22

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/106661
  • ご注意事項