出版社内容情報
浮世絵に魅せられて明治十五年に来日,十八年間滞在して明治の日本人の生きる姿を執拗に追い求めたビゴー(一八六〇―一九二七)の素描は,四十数冊の版画集と百数十冊の雑誌としてのこされているが,ここには,鹿鳴館から花街まで近代日本の原風景がぎっしりつまっているといえよう.正編には六十点,続編には九十数点のスケッチを収録.
内容説明
浮世絵に魅せられて来日したビゴー(一八六〇‐一九二七)は、卓抜な諷刺画を数多くのこした。明治中期の日本を描いた貴重なドキュメントでもあるその中から、代表作「日本人生活のユーモア」シリーズを中心に六〇点のスケッチを収録。詳細な年譜・小伝等を付す。
目次
東京・神戸間の鉄道
兵士の一日
芸者の一日
娼婦の一日
女中の一日
ビゴー小伝(清水勲、クリスチャン・ポラック)
ビゴー年譜
ビゴー紹介のあゆみ
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinupon
74
当時の風俗や世相を反映した写実的な版画ですね。楽しめました。2018/02/28
Koning
34
明治期の日本の姿を絶妙なタッチで描いたビゴーの日本人生活のユーモアからのよりぬき。デフォルメの具合もいいし、鋭い観察眼が見て取れて明治の風俗がよく分かるというか本当日本好きだったんだねぇ。というのがよく分かる。目線がいいんだよねぇ。うん。2015/01/02
川越読書旅団
29
フランス人風刺画家ビゴーの素描集。素描としてのクオリティの高さもさることながら、当時の日本の様子を的確に伝えつつ、ユーモアや皮肉の片鱗が垣間見られる傑作の数々に感動すら覚える。勢い続編も購入。2021/09/04
たまきら
25
中学生の頃、このひとの風刺画が教科書に載っていたなあ。けれども彼の背景は知らなかった。印象派が脚光を浴び始めたパリで浮世絵に惹かれて日本にやってきた20歳の青年画家が、当時の日本知識層に与えた影響は大きかったろうなあ。素描の面白さだけでなく、その素描の裏にある好奇心やフェティシズムににやり。この部分を控えて絵画へ重きを置けばゴーギャン並みに注目されたかな?いやいや、なかなか面白い人生だったろう。フランス人の盲目的な日本の文化への情熱は、今もある気がする。2018/07/28
そうたそ
13
★★★★☆ ビゴー入門書に最適な一冊ではないかと思う。手に入りやすい大体のビゴー関連本は清水勲氏が手がけられているので、内容が多少清水氏の見解寄りになってしまうのは仕方ないが、見開きがイラスト+その紹介という簡素な構成で非常に読み易くなっているのではないかと思う。ビゴーといえば、一般的に小中学校の教科書等でその絵を見た者にとっては風刺画家のイメージが強いが、これを読むと風刺画家とは画家ビゴーのほんの一面に過ぎなかった事がよくわかるだろう。イラストそのものだけでなく歴史的な価値も有しているのがビゴーの絵だ。2013/08/27