出版社内容情報
「女の目に心に,女ならでは持たない,深みとねばり,鋭さと敏さとを狙いました」と著者の言う通り,幕末から明治の実社会の内面が,庶民の胸に刻まれた時代の絵模様として鮮やかに織り出された.下巻には,本所の7不思議,大阪の怪事あれこれ,さまざまな大衆芸能,初めての西洋料理など,盛りだくさんな内容.(解説=紀田順一郎)
内容説明
「女の目に心に、女ならでは持たない、深みとねばり、鋭さと敏さとを狙いました」と著者の言う通り、幕末から明治の実社会の内面が、庶民の胸に刻まれた時代の絵模様として鮮やかに織り出された。下巻には、本所の七不思議、大阪の怪事あれこれ、さまざまな大衆芸能、初めての西洋料理など盛りだくさんな内容。
目次
御行儀のよい増山様
脱走組のおとまりさん
女みたいな長唄の巳太郎
貴婦人の慈善会と看護婦
守田勘弥を助けた芝居
団十郎と折合ぬ松永和楓
半狂人の勝ッ平
岩亀の鑑札娼妓の朝帰
錦絵から生れる幕末話
大道芸術女砂文字の死〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
20
明治16,7年が米価騰貴で糯米が安いので、一片1銭の附焼餅が さかん(傍点77頁)。貧乏臭い荒物屋を開業(128頁~)。 貧乏の絵裁判富貴の天保銭(171頁~)。 インフレはどの時代でも厳しいと思う。これからも物価で生活苦が続くようでは、何が進化社会かわからなくなってしまう。 2015/04/17
猫丸
14
少し余裕があると歌舞音曲の習い事に精出すのが昔の人の偉いところだ。暇を持て余しテレビを見て太るだけの現代人の薬にしたいくらい。下巻の注目記事はp.106「浅草十二階下の曖昧屋」p.118「英和女学校のラージ殺し」いまの東洋英和の前身の学校での殺人事件。相馬事件に関する話題二つp.143、p.228。p.186“ええじゃないか”の生起次第と前触れの怪異。圧巻はp.209「蝮のお政の御牢内の女囚話」何度も悪事を繰り返し、そのたびに捕われた女犯罪人の懲りない経歴。あまりの罪悪感の無さが爽快ですらある。2020/11/18
犬養三千代
6
上巻でも感想を書いたが興味深いが地名、言葉、風俗をもっと知りたいと思った。2019/09/15
てり
3
百話シリーズ三冊読了。幕末維新から明治を生きた人々の話はどれも面白い。武士のその後、奥女中たちの話、芸能・娼妓の話、成功した人々、様々な事件など。個人的には食に関するものがどれも興味深くて面白かった。あと、東京は昔から物騒で治安もよろしくなかったんだなという印象も持った。都会の宿命かな。2020/11/13
ゆぅ
2
上巻に引き続き興味深い話がたくさんでした。当時の話し言葉をできるだけそのまま記載したそうで、当時の女性の口癖や、日常の言葉が知れるのも面白い。身売りを内職と言ったり、葡萄酒の空き瓶を飴徳利と呼んだり。将軍様が大奥老中(19)の寝所へ忍び込んだ話はショートドラマで見てみたい。2025/04/06