出版社内容情報
『幕末百話』『明治百話』に続き,聞き取りの対象を女性にしぼって集めた百話.名士の家庭にも易々と入り,巷の風俗や季節の楽しみをこまやかに観察し,男性とはひと味異なる女性ならではの逸話がそろった.旧幕書生の出世物語あり,江戸っ子の意気張りづくで耐えた刺青の体験談あり,江戸趣味のまだ滅びない時代の面影を伝える.(全2冊)
内容説明
『幕末百話』『明治百話』に続き、聞き取りの対象を女性にしぼって集めた百話。当時一般の女性の話したことが世に発表されることは稀であった。風俗、行事、遊び、食べ物、有名人の素顔、土地の噂、事件、芸事…男性とは趣味も着眼点も異なる、女性ならではの逸話がそろい、江戸趣味のまだ滅びない時代の息づかいを伝える。
目次
油堀伊藤家の八人娘
江戸と東京の境目
御殿女中の花嫁
近江のお兼の刺青女性
練馬の沢庵に一銭雪隠
明治に伝った本丸話
上野彰義隊戦争の前後
蓼派小唄の胡蝶さん
鬼熊横丁と梅坊主
明治名所萩寺と臥竜梅〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
27
貧乏士族が大金儲け(33頁~)。貧乏公卿に貧乏組(57頁~)。冷々して潰れる家(168頁~)。良人(おっと)は甲州の徽典館 で、漢学を学び苦学をした。本はなかなか読んだ人で、四書五経、太閤記の草双紙物、八犬伝、支那の軍談物を耽読(173頁)。 どんな時代でも、本を読んで勉強、自己精進する行為にはかけがえのなさを感じる。見習いたい。 2015/04/16
猫丸
13
「明治百話」が面白かったので引き続き篠田鉱造の聞き書きを。こちらはインタヴュイーがすべて女性である。僕にとっては世間話を聞く機会が居酒屋しかないのでサンプルは非常に偏るが、そこでの話題は男の場合「俺ぁ嘘は嫌いだからよお」ではじまる人物評論。女性は「アタシってウソつけないヒトだからあ」からの恋愛や結婚関連だ。男女に共通するのはテレビ関係ですかね。聞く気はないが聞こえるから仕方ない。どれもこれも気絶するほどツマランのです。ウソでもいいからもっとスケールの大きい話や新奇な話を聞きたいっすよ。2020/09/13
犬養三千代
6
幕末から明治の様々な聞き取り。「幕末百話」「明治百話」と三部作となる。女の語りは男の語りとは違う視点があり興味深い。 地名、風俗などわからないこと多くいずれ忘れられるかなと心配。 調べつつ読むので時間はかかる。が、それ以上の驚きがある。2019/09/15
コノヒト
2
幕末から明治大正を生きたご婦人方の、昭和ヒト桁年代に於ける話口調をよく写し取っているのだろうと思われる文章そのものが、今や貴重な記録だ。江戸情緒を懐かしみながら、文明開化の世も相応に楽しんでいる端境期の人々の姿を興味深く読んだ。2015/04/23
てり
1
女性から見た幕末明治のあれこれ。おばあさんの昔話を聞いてる風。「カメ犬」ってなんだろうと思ったら当時は洋犬のことをそう呼んだらしいそうな。刺青の話は強烈。(下)へ続く。2020/11/11