岩波文庫<br> 明治百話 〈下〉

岩波文庫
明治百話 〈下〉

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 297p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003346938
  • NDC分類 916
  • Cコード C0121

出版社内容情報

一口に実話といっても,話し手の思い込みや記憶違いもあり,どれほどの事実が含まれているかの見極めや取捨選択が大事である.明治の東京に生い育ち路次の抜裏まで知りつくした著者ならではの,よりぬきの実話集.(下)も,明治の新商売・通人の道楽ぶり・烏森芸者のヨーロッパ興行談など,多彩な話題に明治の面影を盛る.(解説=森まゆみ)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ホークス

41
明治の東京に関する百話の下巻。昭和初頭の刊行。ちょんまげから散切り頭への移りぎわ、床屋が大繁盛する。最初は躊躇する客も多かった。三越デパートの前身は「三井越後屋呉服店」。早くからお客本位の方針を掲げていた。輸出用のお茶工場は、九百の釜に従業員が千人。皆で歌いながら低賃金の辛い仕事をこなす。長屋の糞尿は肥料として買われていた。値を吊り上げる強欲な大家がお百姓に糞尿を掛けられ騒動になる。世界中を1年半も興行した芸者団。大歓迎にあったり求婚されたり、命懸けの大冒険。古い言葉使いが説話集のようで、不思議な味わい。2021/01/06

kokada_jnet

28
解説は森まゆみなのだが( https://allreviews.jp/review/4663 )。この解説について、高島俊男先生が「書誌学的な情報がずさんすぎる」「単なる感想文」と大批判(この批判は『お言葉ですが…別巻⑥』に収録)。 それで、この文庫を読み返してみたのだけれど、森まゆみの解説も、それほど悪くはないような。 高島先生は、さらに、篠田の文章に「語り手の名前、聞き書き時期の明記がない」「自分の親である質屋権六の思い出を、なぜか権六の孫から『聞き書き』にしているのが不自然」(以下コメントに続く→2014/08/28

hasegawa noboru

17
(下巻)「山の手胸黒下町エリ黒」。<赤坂から京橋の三十間堀へ、晴雨にかかわらず通勤した><かれこれ十年の往復>を著者自身が回想した一話。通勤の<その両側にある商店の盛衰>に具体的に触れた後の感慨。<今日の変化を見て、夢といっていいか、ソレがまた交友知己、さなくとも大臣名士、嬌名を唄われた女、芸界の団菊左、すべての物に結びつけて、幻の如く、煙の如く、消え去ったことに思い及ぶと、何ともいえない淋し味を感じる事があり、また現在のそうした繁華や、全盛がまたたちまち幻となって消え、夢となって覚めてしもうのであると2023/11/02

猫丸

12
下巻は「花井お梅」事件のあらましや、巡査探偵郵便集配人の実情、娘義太夫の話、憲法発布式典と森有礼暗殺の話などなど。本書の弱点は語り手のデータが皆無であること。誰の証言であるのかがほとんど明記されていない。調べればわかるのだろうけれど二度手間だなあ。ともあれ明治を振り返る時点が明治末期から大正年間くらいでありつつも、すでに「失われた明治」を嘆く口調であるのが面白い。それほど過去の話ではないはずなのに、昔は良かったとなるのですね。多くの人が昔の方が小銭でたくさん遊べたと述べている。寿司屋の客質が落ちたとも。2019/12/01

iwasabi47

4
娘義太夫 アイドルだね2020/07/21

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/44278
  • ご注意事項