岩波文庫<br> 明治百話 〈上〉

岩波文庫
明治百話 〈上〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 267p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003346921
  • NDC分類 916
  • Cコード C0121

出版社内容情報

世界史にも類のない一大変革期,明治.約半世紀に及ぶこの時代は,さまざまな逸話を生みながら変化し続けていった.実話主義を掲げる著者が,新旧の移り変りや衝突の最も激しかった明治初年の世相を聞き書きの中に再現する,百話シリーズの第2弾.(上)は最後の首斬役人・八世山田朝衛門の述懐から銭湯・床屋の昔話まで50話.(全2冊)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ホークス

40
新聞記者が聞き集めた、明治の江戸に関する百話(上下巻)。昭和初頭の刊行。昔話のような手触りがある。明治14年まであった斬首刑の役人が語る、罪人の扱い方、一撃で斬る心得、暴れる男を正面から斬って返り血を浴びた話が生々しい。元旗本が食い詰めて酒乱と化す顛末は、息子の淡々とした語りが印象的。他、襲われた岩倉具視を背負って逃げる話。歌舞伎役者の税金を技量でランク付けする話。元勲の奥方に付いて旅行した髪結女性の話。スリの巧妙な手口、貸本屋の外回り道具、鐘撞きの技、ジオラマ玩具の見事さなど、短文ながら面白い話が多い。2021/01/03

hasegawa noboru

17
昭和6年に刊行された本で、1996年文庫化され、2018年で17刷(上巻)15刷(下巻)とある、それを読んだ。明治の昔を語った人も、それを聞いて本にした著者も、とうの昔に亡くなっている。貴重な明治世相風俗史の史料だろう。明治という時代を生きた百話百通りの種々雑多な人々の(主に無名の市井の)人生の光景が細部とともに立ち上がって来る、面白かった。 2023/11/02

猫丸

14
江戸の延長。愉しみは芝居、講談、銭湯、祭り、妓楼、鰻屋。べらんめえに鴃舌が侵入を始め、民権論華やかなりし頃、若い国は活気に溢れていた。紫煙濛々たる板敷に机を並べて記事を筆書きする新聞記者には二種ある。経世を語る壮士と傾城を取り沙汰する遊子連である。主に後者の範疇で蒐集された明治噺が並んでいる。衰退期日本から眺めると羨望に耐えないです。昭和六年刊の底本から1996年に文庫化したとあり、活字が新しく読みやすい。「天麩羅デリバリーの嚆矢」(無論現地で揚げるのです)なんていう話が何とも楽しい。2019/11/20

chang_ume

10
昭和7年刊。明治東京を「聞き取り」で描き出す。司馬遼太郎的な英雄史観は微塵もなく、いたって淡々とした調子です。生活者の視線が平熱で切り取られるというか。また各話題については話者の名が明かされず、匿名の語りの体裁で、これが「弱い主語」ならではの低い和音となっているような。気を抜けば文字通りの大時代的な活劇となりそうなものを、まさしく編著者(篠田鉱造)ならではの個性と感じました。オーラル・ヒストリーの味わいとはこういうことかと。2018/10/04

Gen Kato

4
再読。首斬役人から髪結いさん、花柳界の女性、掏摸など、ありとあらゆる人たちの談話を集めた本。ちょっと読み出すと止まらない。「昔話」って面白いんだ!と、改めて実感。もろんそれは編著者の「実話主義」の賜物でしょうが。ちなみに序文・推薦文がやたらと多いのも妙におかしい。2013/08/15

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