出版社内容情報
『荘子』は道家思想の代表的古典として,儒家の論語や孟子などに対立しつつも古代中国思想の重要な一翼をなし,我が国にも多大な影響を与えた.卑小な人間世界から飛び立ち,人為を超越した自然の世界に融けこんで,自由な精神を得ようとする荘子の思想は,まことに魅力的である.一(内篇),二(外篇),三(外篇・雑篇),四(雑篇).
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
90
白文、書き下し文、註、口語訳の順で記されているので、高校時代のノートを思い出し、懐かしいのと同時に改めて勉強になる。漢文を習っていた高校生の時に出会いたかったなぁ・・・。幻想系作品でよく、引用される「胡蝶の夢」や「顔を作るために穴を穿たれた混沌の末路」なども紹介されていました。荘子は「日常を過ごしながら無為の境地であるがままに生きよ」、「名や意味、倫理で規定しなくとも移ろう全ては完全である」と説く。まるで禅の教えのようだ。個人的に醜男、哀駘佗と巫、季かんの逸話が印象的2017/07/07
スプーン
42
中国古典の巨人、荘子の説法集。永久に終わらない禅問答の様で、難解でした。2019/12/13
零水亭
25
一番、擦り切れるまで読んだ本です(二位は臨済録、正法眼蔵随聞記、論語)。外篇・雑篇(第ニ〜四冊)は一回ずつしか読んでいないです。 「他人の相対的評価に捉われず、必ず自分で実地を踏み、絶対的価値観を持ち、その価値観が正しいか絶えず自省せよ」と言われているように思えます。 『老子』も好きですが、『荘子』内篇の方が実際的で分かりやすい印象です。
zirou1984
25
老荘思想として老子とセットで語られる荘子だが、書物としての面白さは荘子の方が上。イエスやソクラテスと同様、老子は自らの言葉を書き留めなかったのに対して、荘子は「胡蝶の夢」の様に、様々な寓話を書き記す事でその論理構造の外側にある充足した精神について指し示そうとした。解説では彼の哲学を「弱者がぎりぎりの底からたくましい強者へと転ずること」とあるがこれはある意味で正しく、ある意味では間違いだと思う。荘子の提示するのはそもそも弱者ー強者という差分の存在しない価値観だからだ。無用の用の境地は辿り着きたい目標である。2013/06/23
まふ
19
老荘の思想の根源的書物であり、面白く読めた。善悪、美醜、大小、貧富、等の人間的な小さな世界から解き放たれて、自由な境地に遊ぶ、まさに自然と一体となった姿を理想とすることが諄諄と語られている。いわば正反を超越した世界という意味から、これぞ弁証法的世界とも感じられる。荘子はこれを万物斉同と言っているが。今回の第一篇は荘子の自らの著作と言われるものであり、深みのある言葉の連続である。人生における様々な局面での一種の開き直りがこれを読むことにより可能となるのではないか。2000/10/18