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岩波文庫
青年と学問 (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 313p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784003313824
  • NDC分類 380.4
  • Cコード C0139

出版社内容情報

柳田民俗学を貫くのは「経世済民」の志であって,世の中を賢くし良くするのが学問だとする考えは終生変わることがなかった.その主張は柳田自らの手に成った最良の柳田学入門である本書からつぶさにうかがえる.民俗学の責務を論じた表題作,知的発見のための旅を勧める「旅行の進歩および退歩」など十篇. (解説 神島二郎)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

14
柳田国男先生は、「日本語で感じたことを英語で陳述せねばならなぬのは情けない話で、それ故に自分などはエスペラント運動の大賛成者である」(39頁)と、現代の英語帝国主義へ反旗を翻す。これは一理ある。英語万能ではない。英語は学術交流の手段であって、目的ではない。先生はまた、「旅行は学問のうち」とされる(51頁~)。曰く、「良き旅行というのもやはり良き読書と同じで、(略)人類の集合生活にも、何か新たなるものまた幸福なるものを齎しうるか否かに帰着」(51-52頁)。このような思想は民俗学を創った人の凝縮発想と思う。2014/02/13

Schuhschnabel

6
柳田國男についてこれから知ろうというときにうってつけの本。「南東研究の現状」の冒頭部分は、経世済民が学問の共通の目標であるとする柳田の見解をよく表している。読み物として面白いかはともかくとしても、「旅行の進歩および退歩」や「旅行の歴史」などを旅先の電車に揺られながら読めば、きっと思うところがあるはずである。2017/09/12

Schuhschnabel

4
再読。書物を称揚する学界の風潮を痛烈に批判し、身近な事柄を理解することから学問を始めるべきだというのが本書の一貫した主張である。一方、それぞれの論考を詳しく見ていくと柳田の苦闘の跡がみられる。口碑をたくさん集めましょうというところまでは比較的スムーズに展開されているが、いざそれをどう分析し、さらにはどう総合しようかという段になると途端に歯切れが悪くなる。このことは、民俗学が発展途上であることを示すのと同時に、人文系の学問は政治の場面で役に立たねばならないという柳田の強い意思の表れでもあると感じた。2021/03/13

てれまこし

2
民俗学者ではなく思想家としての柳田を知りたい人に一押しなのは本書。第一次大戦後の国際主義を吸収し、異人種観の改良に日本の歴史的使命を見出した柳田。地方の青年たちに旅を勧め、狭い世間から少しずつ広い世界に目を向けるよう慫慂する。ヒト(他人)を通じて自己を知り、自分+他人=ヒト(人類)を抽象的な概念ではなくではなく具体的な存在として知るための人間科学として、民俗学を売り込む。今日の民俗学とは違う民俗学がここでは構想されている。2017/07/04

Rion

2
表題になっている「青年と学問」のほか10編ほど短編が含まれているが、どれもこれも言っていることが全く古びていないように思える。旅行が文化消費の観光へと変化してしまったことを指摘する「旅行の進歩および退歩」「旅行と歴史」が興味深い。彼は研究者であり、政治家であり、教師でもあった。古書没頭で終わる学問を批判し、現代の政治へ目を向ける必要性も説いている。彼の幅広い活動は、学問のたこつぼ化を避け、学問の垣根を超えて社会を考える姿勢を表す。本書は政治と学問に対する彼の姿勢を十分に表しており、大変面白かった。2015/11/04

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