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岩波文庫
ジャンプ 他十一篇

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  • サイズ 文庫判/ページ数 338p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003280218
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

多くの作家や詩人が国外に亡命したり獄中死などの悲惨な最期を遂げるなか、南アフリカに踏みとどまって、白人の立場から人種差別批判の作品を発表しつづけた南アフリカのノーベル賞作家ナディン・ゴーディマ(1923‐2014)。アパルトヘイト全廃が法的に決定した後の、新しい社会体制へと移行する人びとの動揺や不安の心理を描いた珠玉の短篇。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

夜間飛行

220
南アのアパルトヘイト後の差別や暴力を巡り、様々な立場の人のポートレートを差し出すかのような短篇集。意識された分断よりも、人の行動や意志の中から分断の〝今〟が不意に現れる所に鮮烈な印象を受けた。「隠れ家」は逃亡中の革命家の男と、夫が海外にいるブルジョワ女性との情事の話。最後に《あなたは誰なの》という問いが宙に浮かんで残る。「ジャンプ」は、良心の呵責から黒人政府に投降した男が白人による虐殺や少女強姦を明かす話。若い娘と性交した後、ホテルの六階からジャンプする夢想をする。地上には男が見てきた傷ついた人々がいる。2021/12/16

壱萬弐仟縁

26
91年初出。同年ノーベル文学賞(327頁)。家族:悪臭を放つ太陽から(171頁)。現代では糞尿との闘いの場合もある。 法令を盾に人びとの生活を破壊、逮捕とずかずかと踏み込み、独房に閉じ込めることを何世代にもわたってしてきた政府と警察 の大馬鹿野郎(174頁)。そんな時代、強権力は御免だね。245頁など、性的描写(口淫等)は好みの分かれるところだと思うが、 他の箇所でもそうした描写は見られた。 2015/04/11

秋 眉雄

23
「どんな夢を見ていたんだい?」全12篇。どの話もピンと張り詰めていて、絶対にそれを弛めないという強い意志を感じるものばかりでした。政治的な物語と物語で政治を語るのは違う筈なのだけど、読みながら考えているうちにそれが何だかよく分からなくなってしまったのは、南アといえばアパルトヘイトとか、ネルソンマンデラとか、I ain’t gonna play sun cityくらいしか浮かばない、そんな自分の浅ささのためなんだろうなと思いました。またひとつ、強烈な刺激を受けた気がします。2017/01/29

藤月はな(灯れ松明の火)

23
アパルトヘイト終結後の南アフリカを舞台に描いた『恥辱』は異なる文化圏に長年、いた白人親子の価値観の断絶を描いていた。こちらの作品は黒人の怒りだけでなく、アパルトヘイトに加担し、価値観が一変してから戸惑う様々な人種の混乱も抉り出す。「幸せの星の下に生まれ」は希望が見えると見せかけて現実を見せつける落差に愕然とさせられる。現実は惨くも脆い。そして「体力作り」で今まで迫害してきた黒人に追われ、カトリックを信仰する黒人老婦人宅に匿われた男が自分の家族の情の無さを初めて知ってしまうという落差は皮肉。2014/12/11

踊る猫

20
黒人(アフロ・アメリカンと呼ぶべきだろうか?)や混血に対する白人の抑圧と、それを転覆させようとするマイノリティ。そこから生まれる戦争や革命、テロ等々。ナディン・ゴーディマは弱者の視点から――それが加害者であろうと被害者であろうと――そうした血腥い現実を語る。何気に彼女が地べたに立ちつつも「ストーリーテラー」として、豊かな想像力を駆使して語っていることに注目したい。彼女は黒人/混血/白人といった立場を超えて現象を切り取ることが出来る稀有な「語り手」なのだ。そしてこの血腥い現実は、日本にも確実に到来しつつある2016/08/04

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