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岩波文庫
キリスト伝説集 (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 279p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003275610
  • NDC分類 192.8
  • Cコード C0197

出版社内容情報

スエーデンの女性作家ラーゲルレーヴ(一八五八―一九四〇)がおくる,キリスト一生の伝説にちなんだ十一篇の物語.夢あふれるやさしい語り口でつづられた一篇一篇を読みすすめてゆくうちに,作者のあたたかな人間愛が脈々として伝わってくる,そんな思いのするこの伝説集を,心こもった平明な翻訳でおとどけする.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

夜間飛行

171
キリスト誕生の夜、意地悪な羊飼いの心に思いやりが芽生え、闇の中から天使が現れる。夜の持つ力は偉大だ。蜂や花を愛する幼子イエスを嫌うローマ兵が最後は王命に背いてイエスを助ける話、そして少年イエスの作る粘土の鳥を壊す悪童ユダが、鳥が本当に羽ばたくのを見て泣き崩れる話…これらの話のローマ兵やユダの気持が痛いほどわかる。この時ユダをさすり「可愛そうに」と呟くマリヤは、十字架を背負うイエスを抱く老女ファウスティナに重なって見えた。人の心から心へ伝わる不思議な感情は、最終話で苦難に耐えて運ばれる小さな灯のようだった。2020/12/24

きゃんたか

16
著者の手にかかれば、マリアの妻ヨセフは悪どい羊飼いのあらゆる妨げを捩じ伏せる霊能者だし、獣の心を持つローマ兵は幼子イエスの前で人の心を持つ柔和な者に変えられる。とりわけ、幼いイエスがあのユダと粘土遊びに興ずる話と、芥川龍之介の『蜘蛛の糸』にも影響を与えたという話が信仰の観点では興味深い。前者でユダは、喧嘩っ早い男の子で、イエスに対し愛憎入り雑じる人間臭さを帯びており、後者では、ぺテロが天国に入れなかった母への悲しみを露骨に主に訴えている。神の愛に母性的なものを見出だす作風は、遠藤周作にも通ずるものがある。2020/12/08

ハルバル

12
日本では「ニルスの不思議な旅」が有名なスウェーデンの女性作家による、キリストに関する11の奇跡を書いた短篇集。生誕からエジプト逃避行、三賢者に神殿の奇跡にキリストの幼年期から受難とヴェロニカのハンカチ、ムネアカドリの逸話など折に触れて奇跡とそれによる周囲の無信仰な人々の回心が書かれる。一番印象的なのは作者の祖母が語ったとされる冒頭の羊飼いの話と、ヴェロニカのハンカチにローマ皇帝ティベリウスの病を絡めた話。聖書の逸話を基にした創作ではあるが愛と自己犠牲というキリスト教精神の美しい特質がよく表された作品群2019/12/19

刳森伸一

5
キリストにまつわる奇蹟の物語を綴った11の短篇を収録。当然説教的ではあるけれど、控え目で物語の方に集中できる。収録先の中でもやや異色なユダとキリストの子供時代を描いた『ナザレの里』が個人的には好きだ。あと黒人が奇蹟によって白人になる場面に時代を感じる。2015/07/29

ひろと

4
父に薦められて、「神の宮」と「聖ヴェロニカのハンカチ」だけ。特にキリスト教の伝説や説話などには(何とはなく)流されまい騙されまいと思うものの、いざ読むと本当に胸に迫ります。やはりこういう物語には、うまく説明出来ませんが何か抗し難い魅力があるのだと思います。だからこそ今までに数え切れない人たちがこれら伝説を大切にしてきて、現代にまで至ったという事なのでしょうが…いつか全て読みたいと思います。2011/07/12

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