出版社内容情報
作家であり記号論学者である著者が,読者は小説をいかに読むべきか,作者は読者にどうよんでほしいと願っているのかを,記号論の概念を駆使してユーモアをまじえつつ解説する,ハーヴァード大学ノートン詩学講義(1992─93)の記録.フィクションとは一体何なのか? 虚構の森(=小説)を散策する楽しみはどこにあるのか?
内容説明
作家であり、記号論学者でもあるエーコ(1932‐)が、読者は小説をいかに読むべきか、作者は読者にどう読んでほしいと願っているのかを、記号論の概念を駆使して解説する、刺激的な文学入門。虚構の森(=小説)を散策する楽しみはどこにあるのか?そして、フィクションとは一体何なのか?ハーヴァード大学ノートン詩学講義(1992‐93)の記録。
目次
1 森に分け入る
2 ロワジーの森
3 森のなかの道草
4 可能性の森
5 セルヴァンドーニ街の奇怪な事件
6 虚構の議定書
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
lily
125
エーコは危険。虚構から現実への効能を力説しながらもエーコの愛してやまない文学の世界地図を描いていくから、旅しないわけにはいかない気持ちになってしまう。読みたい本プラス100冊超えか。人生の解釈には文学が不可欠である。善い読書を生涯続ける理由が此処に示されている。2019/08/03
マエダ
102
本書はハーヴァード大学で行われたエーコの6回にわたる講義の記録である。無人島にどんな本を持っていくかと尋ねられるというところ、エーコは電話帳と答えるという。そのこころはこれだけ登場人物がいれば際限なく物語が創造できるからとのことだが。大阪では通用せえへん2017/02/08
KAZOO
29
ウンベルト・エーコの読書論。連続講義6回分を収めたものです。非常に知的好奇心を満足させてくれます。講義録なので比較的わかりやすい言葉で小説を読むにはどのような観点を重視して読んでいけばいいのかを示してくれます。特にさまざまな作家からの例文をひいての説明なので原作を読んでみたい気にさせてくれます。2014/08/07
やいっち
28
作家である以上に記号論学者であるエーコの、一般向けの講義。 小説を素朴な読者として読むだけで、記号論に限らず、方法論的自覚を以て読むことはなかった。たぶん、今後もないだろう。 ただ、だからと言って、多少なりとも虚構作品を書く自分は、無手勝流に書くわけではない。2017/05/13
ヨクト
25
ウンベルト・エーコの文学講義。講義ということで、語り口としては軽やかで読みやすいのだが、語っている内容は難解である。書物にとって読者とは。読者にとって書物とは。ただ、なんやかんや言いとりますが、好きに読めば良いのも確かですね。2015/06/22