岩波文庫
ブヴァールとペキュシェ 〈下〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 158p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003253892
  • NDC分類 953
  • Cコード C0197

出版社内容情報

ブヴァールとペキュシェというふたりの平凡な男が,いろいろの社会体験を試みる話で,ブルジョワ社会の愚劣さを諷刺したリアリズム小説.このふたりは,小作人と農業について語るかと思えば,村長と村の政治について議論し,貴族と文学を談ずる.また医者に会って科学を論じ,ボルダン夫人とは恋愛論議に花を咲かせる.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

256
前半はカトリックへの傾斜を見せる。懐疑的なブヴァールに比して、ペキュシェは大いに乗り気だ。ここでも例のごとく数々の神学談義が繰り返されるが「信仰と理性を一致させようとした」ペキュシェの望みも果たされず、最終的に二人は離れていく。最後は教育だが、子供の素質を知るために骨相学をというのは、どこまで真面目なのかわからなくなる。いずれにしても彼らの学問が、ことごとく実践のためにあった―そして結局は何の役にも立たなかったところにはフローベールの諦観が漂う。最後の草稿は、これがフローベールの断筆かと思うと感無量。2015/12/31

ケイ

101
最後はこうなると思っていた。いいじゃないか、これで。プルジョワなんかとかかわるもんだから…。概して3つのお願いをしてから一番よかったことに気付くものだ。愛する相棒がいさえすれば、シンプルが一番いい。最後はぶつ切りの文が続いて終わる。きちんとする前に亡くなったのだろう。しかし、その書きたかったスピリットは伝わってくる。フロベール、見直した!これを読んだら、次は『聖アントワーヌの誘惑』を読むべきだろうな2015/11/21

NAO

49
農業から始まって、科学、考古学、骨董、文学、政治、恋愛、神秘主義、哲学、宗教、教育と、ありとあらゆる分野に手を出し、なのに何一つ身に付かなかったブヴァールとペキュシェ。何にでも手を出してみずにはいられない好奇心の旺盛さも、空きっぽさも、ちょっとお金に余裕のあるブルジョアならではの特徴なのか。この二人ほど極端ではないにしても、こういうタイプの人は確かにいそうだ。だが、哀れな二人には救いはなく、二人はまたもとの生活に戻っていく。二人に対するこの冷たさこそが、フローベルのブルジョワへの痛烈な批判なのだろう。2016/06/08

壱萬弐仟縁

20
ルソーは『エミール』の中で、子供が手伝ってもらったと気づかない 程度に手伝ってやれと、家庭教師に忠告している(76頁)。 そうだな。教え過ぎには気を付けたいものだ。 歴史というものは沢山読書しなければ覚えられないのだ。少年には読書をさせよう(88頁)。2014/03/11

きゅー

17
ブルジョワ階級のディレッタントな側面を辛辣に描写する一冊。仕事をリタイアした二人の男が興味の向くままに研究に勤しむ。しかし彼らの研究はその場限りのもので、なにも発展するところがない。いつも同じ過ちを繰り返し、人々を責め、自身は反省することもなく、あいまいな知識で偉そうにする。彼らの研究は農業、文学、化学、政治、恋愛、心霊学、キリスト教学、教育学等と学問領域全体にわたる。この小説を壮大な学究小説にもすることができたであろうに、フロベールが選んだのはブヴァールとペキュシェの愚物さを際立たせる反教養小説だった。2015/07/29

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