岩波文庫<br> 谷間のゆり (改版)

岩波文庫
谷間のゆり (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 510p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784003253021
  • NDC分類 953
  • Cコード C0197

出版社内容情報

不幸な少年時代を送った青年フェリックスは,はるかに年上の伯爵夫人に熱烈な恋心を抱く.夫人はみたされぬ結婚生活に悩みながらも,あくまで母のような,精神的な愛をもって応えようとする.しかしその心の奥底には,はげしい愛欲が秘められていた…….霊肉の相克に苦しむ人間の姿を,非情な筆致で描きだす恋愛小説の古典.

内容説明

不幸な少年時代を送った青年フェリックスは、はるかに年上の伯爵夫人に熱烈な恋心を抱く。夫人はみたされぬ結婚生活に悩みながらも、あくまで母のような、精神的な愛をもって応えようとする。しかしその心の奥底には、はげしい愛欲が秘められていた…。霊肉の相克に苦しむ人間の姿を、非情な筆致で描きだす恋愛小説の古典。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

優希

48
面白かったです。不幸な少年時代を過ごしたせいか、年上の伯爵夫人に恋心を抱くフェリックス。彼の恋心に精神的愛で応えようとする夫人ですが、心の奥底に激しい欲望を抱いているのを見てしまうと、ただ清らかな布陣に恋した純愛の物語で終わるわけはないと思いました。清らかに見えてどんどん皮肉へと紡がれていくのにハマってしまいます。2023/05/23

Hepatica nobilis

20
一度挫折し難渋しながらもようやく読了。筋書きの問題だけではなく恋愛にはじまる情念の諸相をあらゆる面から語りつくそうとする「異常な調子の高さ」があって、頁は容易には進まない。荘重で拷問に近いほどの美文だ。クロシュグールドは文学史上もっとも美しい作品舞台で、モルソフ夫人という女性は究極の理想像だろう。頂けない自己憐憫も、終盤の非情な展開で相対化される。テーマを愛に極限した作品としては、楽劇『トリスタンとイゾルデ』ぐらいしか比肩するものが思い浮かばない。名作と言われることに同感。2015/01/21

kaze

13
バルザックらしからぬ繊細で抒情的な風景描写も多くて、あらーなんだか調子狂うわーと思いながら読んでいたのだけれど、モルソーフ夫人の死の場面では胸がいっぱいになってしまった。谷間に満ちている悲しみに私も感染してしまった。というところで、最後のナタリー嬢の手紙ですよ。キター。いや、ほんと、昔の女の話とか告白されても困るねん。死んだ人には勝てないって。この章を書いてくれるところが、バルザックなのよね。2022/07/10

noémi

13
「人間喜劇」を全部読了後、バルザックの超饒舌ぶりに辟易していたので、なかなか読む気になれないで放っておいたのだが・・・・。いや、すごい迫力ですね。これぞ恋愛小説の傑作。さすが、高校の教科書に「フランス文学・バルザック・谷間の百合」って書いてあるだけのことはある!しかし、あの皮肉屋のバルザックがねぇ。最後の愛人の「こんなしんどい人の愛人なんてやってられんわ。私、下ろさせてもらうから」みたいな最後通牒、キレがあっていいな~。アンリエットの変形は「従姉妹ベット」のユロの妻かなぁ。何でも書けちゃう人なんですねぇ。2012/09/08

吟遊

11
貞節な夫人に一目惚れした前途有望な若い青年。ふたりの交流は、常に節度を交えながら、いずれは嫉妬が絡み、その抑制ゆえに神経症的になってゆく。要所に手紙が配置去れ、ことに夫人からの手紙は、パリで出世するための処世術を述べて愛情にあふれ、その処世術は世相を映すとともに(フランスのお国柄も!)いまの日本にだって通じると思わせる。このあたりは古典作品の重み。さすが。そして、目立たないけれど好きなのが、末尾に短い手紙が置かれて終わるところ。ここの文章は冷徹な思いやりとも言うべき切り方で、ふさわしい終わり方。2016/12/21

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