岩波文庫<br> フェードル;アンドロマック

岩波文庫
フェードル;アンドロマック

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  • サイズ 文庫判/ページ数 396p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003251140
  • NDC分類 952
  • Cコード C0198

出版社内容情報

恋の女神ヴェニュスの呪いを受け,義理の息子イポリットに禁断の恋を抱くアテネの女王が,自らの恋を悪と知りながら破滅してゆく姿を描いた「フェードル」.トロイア戦争の後日譚で,片思いの連鎖が情念の地獄となる「アンドロマック」.ともに恋の情念を抗いがたい宿命の力として描くラシーヌの悲劇が名訳によってここに甦る.

内容説明

恋の女神ヴェニュスの呪いを受け、義理の息子イポリットに禁断の恋を抱くアテネの女王が、自らの恋を悪と知りながら破滅してゆく「フェードル」。トロイア戦争の後日譚で、片思いの連鎖が情念の地獄を生む「アンドロマック」。恋の情念を抗いがたい宿命の力として描くラシーヌの悲劇が、名訳を得てここに甦る。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

406
「アンドロマック」と「フェードル」の2篇の戯曲を収録。いずれも古代ギリシャのエウリピデス古典劇の翻案。個々の台詞が長いのは、これらが韻文で書かれており語られるのではなく、朗誦されるような調子だったのだろう。シェイクスピア劇のようなドラマティックな要素には乏しいが、古雅な趣きとも言えなくもない。葛藤が劇を新たな地平に導いて行く手法をとらず、個々の登場人物たちの背負う運命そのものが劇を規定していくのである。それは、叶わぬ恋であり、さらに「フェードル」においては、彼女の妬情が若きイポリットを死に至らしめる。2014/03/16

燃えつきた棒

40
『失われた時を求めて』の理解を深めたくて、主人公の「わたし」が大好きなラシーヌ『フェードル』を読んでみようと手に取りました。 正直なところ、あまりピンと来ませんでした。 もともと、戯曲は詩と並んで苦手分野で、なおかつ、「社会派」の僕にとっては、恋愛物というのがこれまた苦手分野なのです。 まあ、最初に演劇を観て感動した後で読んだとしたら、随分と違ってきたんでしょうが。 ということで、感情移入出来なかった腹いせに、今回は思いっきり斜めから見てみたい。/2021/08/05

松本直哉

29
アンドロマックの感想。絶望的な片思いの連鎖のなかでぶれるエルミオーヌとピリュス、ぶれないオレストとアンドロマック。劇では言及はないがオレストは母殺しのために復讐の女神に呪われているからだろうか、狂的に一途。一方のアンドロマックは惨殺された夫エクトールへの哀悼と思慕だけに生きる。元ネタの神話と異なりエクトールの遺児を生かしたことでこの血なまぐさい劇に一縷の希望が残った。遺児への遺言のなかで「決して復讐するな」と伝えるアンドロマックは、復讐の鬼と化したオレストときわだった対照をなす。復讐を諦めることの尊さ。2019/12/19

松本直哉

28
最も恋してはいけない人に人は恋してしまうものなのかもしれない。イポリットに恋するフェードルも、アリシーに恋するイポリットも。いけないとわかっているから、必死に避けて逃げようとしても、泥沼にはまるように恋に引きずりこまれてしまう。人間の自由意志を否定するジャンセニスムの教育を受けて育ったラシーヌは、恋愛においても、意志とは無関係な、ほとんど超自然の力の支配を想定していて、それはヴィーナスの呪いという形であらわれてフェードルを破滅させた。2020/06/09

fseigojp

23
16世紀にラブレーを生んだフランスだが古典演劇の誕生は17世紀を待たねばならなかった 16世紀後半のユグノー戦争が影響しているのだろうか2017/05/23

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