岩波文庫
ヴィルヘルム・マイスターの遍歴時代〈下〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 329p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003240588
  • NDC分類 943
  • Cコード C0197

出版社内容情報

全面性の時代から一面性の時代へ.こうした時代背景や社会状況を踏まえ,ゲーテは「宇宙的」とも言える視座から人間のあるべき姿を描こうとした.本書の作品世界は果てしなく大きく,どこまでも晴れやかで美しい.(全3冊完結)

内容説明

全面性の時代から一面性の時代へ―こうした時代の変化を踏まえ、ゲーテは人間のあるべき姿を描こうとした。霊的な力をあらゆる人々に及ぼす精神的太陽とも言える聖女マカーリエに象徴されるように、本書の作品世界は汲み尽くしがたく、どこまでも晴れやかで美しい。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

13
3冊通して読んでみると、長編小説というよりも、登場人物たちが「結社」に入るまでのそれぞれの挿話をまとめた短編小説集といった印象だ。挿話自体には面白いものもあるが、本編と繋がったあとの展開に大きな動きがないので物足りなさを感じる。理想的集団とされている「結社」の理想的たる所以も、マカーリエが聖女扱いされる理由も、読解力と宗教的素養とが自分にないのもあってよく解らない。ゲーテの他の作品にいくつか触れてから読むべきなのだろう。修行時代が非常に面白く、その続編ということで軽い気持ちで手を出したのが間違いだった。2015/06/25

てれまこし

9
ゲーテの市民社会においては公論の位置づけが微妙。一方では自由で平等な職人たちの間では話し合いによって物事が決定される。他方で、それぞれの個人は自分の知っている一番大事なことは他人には明かさない。不要な論争に巻きこまれないためだ。各々の個人が各々の真実に従って行為せよ。さすれば他人の役に立つことにもなる。たぶん、一つ念頭にあるのは信仰の問題であるが、学問が綜合的哲学から専門知識へ細分化していく中で、新しい知のあり方を考えたのでもある。公論は共に生活することに必要なルール作り(政治)に限り、それ以上は語らない2020/02/13

有沢翔治@文芸同人誌配布中

4
 ヴィルヘルムは息子、フェーリクスを連れてあちこちを旅している。山で崇高な景色を見、友人のヤルノと理想の教育を巡って議論し、「教育州」へと赴く。「教育州」では畏敬への念を基盤に据えていた。これはゲーテの理想的な教育が施されていると言われている。アメリカへの言及が多く、ゲーテがアメリカをどのように見ていたか、垣間見える一作。http://blog.livedoor.jp/shoji_arisawa/archives/51521284.html2021/10/29

よしひろ

4
マカーリエの文庫から、含蓄のある言葉の数々。2016/01/24

tieckP(ティークP)

4
上・中巻同様に、ゲーテの晩年の作品ということを前提に読む(久しぶりに『修業時代』を読んでいたら、作品は作者と関係なしに読まれるべき、とゲーテ自身が書いていたけれど、その読み方は『遍歴時代』についてはやはり厳しい)。『修業時代』やそれ以前の作品がロマン主義を先取りしたとすれば、『遍歴時代』はビーダーマイヤー、つまり小市民的な満足を前に押し出した潮流を先取りしている気もする。作家が同じ作風でいる必要はなく、ゲーテは自分のスタイルにこだわらず素直に年齢にあった作品を書いたのだろう。2013/08/21

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