出版社内容情報
都会の女性キャロルは中西部の田舎町ゴーファー・プレアリィの医者の妻として町の改革にのりだすが,待ちうけていたのは因習と人々の根強い反感だった.――市民社会の成熟期をむかえつつあったアメリカを痛烈に風刺したこの作品は,一九二○年,発表されるやかつて前例を見ないほどの大反響をよんだ.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
221
【原書】原書では分冊されてないので、この辺かなというとこで感想書いちゃいます。ダラダラと街や町民のモロモロの記述が続いて、正直惰性で読んでました。ただただ空回りしてるキャロルが不憫。彼女の夫も悪気があるわけじゃないんだが、キャロルに対してサポーティブではないし。こんな田舎に嫁に来てやったんだから、もっと大事にしてやれよ!ラストまで一気に行きます。2017/04/28
遥かなる想い
128
中巻に入っても、キャロルとケニコットの田舎町での のどかな日々が続く。 田舎町の医者の妻としてのキャロルの奮闘は 空回りするが…単調で長い この物語… ヴィーダの存在が 不気味。 下巻に期待。 2019/10/18
NAO
66
家庭的な暖かさに恵まれない厳格な家で育ち、自分の生まれ故郷になじめなかった作者は、東部の名門イェール大学に進学し、休暇で戻ったとき、都会の洗練された風俗の中で暮らしていた目に映る田舎の偏狭な独善ぶりに、反発心を覚えたという。そういった作者の眼で描かれた保守的で頑固・偏狭な田舎の人々と、独断的で軽率で早急なキャロル。これでは、まったく、互いに折り合いがつくわけがない。だが、おそらく、どちらもが、当時のアメリカの姿そのものだと作者はいいたいのではないだろうか。 2017/12/29
ヘラジカ
19
中巻はじまりではキャロルの感情の起伏にも若干の落ち着きが見えた。しかしそれも束の間、理想主義は再び燃え上がり、いよいよもって鼻持ちならない性格が顕わになり始める。上巻では田舎町への辛辣な視線の方にやや協調しがちであったが、この巻では逆に、漠然としたソフィスティケートへの憧れが、行き過ぎた見苦しいものとして目に映る。それでもやはりキャロルの健気さを応援したくなる気持ちに掻き立てられるのは面白いところだ。或る意味では、これ以上にないくらい純真無垢な性格だからだろう。2016/02/18
しんすけ
6
第9章(上巻)の冒頭に「小羊たちに、かわいらしい教育的なダンスを教えようと、足取りも軽く牧草地に入ったのであったが、その小羊たるや、狼どもだったのだ。」とあったが、その狼の生態が明らかにされていく。キャロルが「ニューヨークだったら、四、五十人以上の人々と知り合うことはないのに、 ここでは。それだけの数の人々と知り合いになったわ。」と語るのが悍ましい。ここに登場する田舎者たちの顔が、東京でよく見かける顔に酷似しているように思えてしまうのは何故なのだろう。「都会ぶった田舎は住めたものではない」と云うことか。2016/12/23