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岩波文庫
どん底の人びと―ロンドン1902

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  • サイズ 文庫判/ページ数 352p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003231524
  • NDC分類 936
  • Cコード C0198

出版社内容情報

一九〇二年夏,エドワード七世の戴冠式でにぎわうロンドンのイースト・エンドの貧民街に潜入したジャック・ロンドン(一八七六―一九一六)が,「心と涙」で書き上げたルポルタージュ(一九〇三).救世軍の給食所での不衛生な食事,小さな靴工場の悲惨な労働環境―苛酷な世界に生きる人々の姿が迫真の筆致で描かれる.著者撮影の写真を収録.

内容説明

1902年夏、エドワード七世の戴冠式でにぎわうロンドンのイースト・エンドの貧民街に潜入したジャック・ロンドンが、「心と涙」で書き上げたルポルタージュ(1903)。救世軍の給食所での不衛生な食事、小さな靴工場の悲惨な労働環境―苛酷な世界に生きる人びとの姿が迫真の筆致で描かれる。著者撮影の写真数点を収録。

目次

奈落で暮らし出す
ジョニー・アプライト
私の下宿のことなど
どん底とある男
瀬戸際の人びと
フライパン横町と地獄
ヴィクトリア十字勲章受章者
荷馬車屋と大工
浮浪者収容所
「旗をかつぐ」〔ほか〕

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

のっち♬

132
1902年のロンドンの貧民街のルポタージュ。浮浪者のなりをし、寝床を求めて夜通し歩き、不衛生な収容所や悲惨な労働環境を観察し、日雇人夫をやったりと積極的に浮浪生活を自ら体験。その描写は身の毛のよだつような生々しさで、資料を頼りに不条理の分析をする後半に比べて充実度が高い。というのも国の運営批判はイヌイットと比較して「やり方がなっていない」以上の発展がない。屈託のない会話や気ままな構成は愛嬌があり、逃避行動を含めて若さ故に書けた貴重な記録。労働需要を減らす倹約の矛盾など、表出する排除原理は資本経済の素顔だ。2022/10/05

こばまり

52
あのジャック・ロンドンが早くも1902年に潜入ルポを。しかし余程辛かったのだろう、身体を張った取材は早々に終了し、後半は専ら机上での分析となる。それはそれで読み応えがあるのだが、やはり前半の輝きには及ばない。日雇いでホップ摘みをした際の著者の写真を見ると、堂々たる美丈夫で全然困窮者に見えない。潜入ルポなのに役作りの足りなさが微笑ましい。2016/06/01

キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん

31
1902ねんのロンドン、イースト・エンド。ディケンズ、羅生門の様な凄まじい貧民街のロンドン氏によるルポルタージュ。一部屋に家族全員で住む過密さ。虫やネズミ、ベトベトした日の射さない環境の不潔さ。常に足りない食料と常にわずかな賃金しかなく、そこからなかなか出られる事はない。老いや病によって簡単に路上生活になる。そして貧しい人が貧しいままなのは「怠けているから」という冷たい一般の人々の目。まるで現代日本の「貧困ルポルタージュ」を読んでいるみたいでぞっとした。この「無理解」が1番の敵であるとしている。2017/01/28

みっぴー

28
体当たりのルポルタージュ!自らどん底へ足を踏み入れた作者の魂が込められた一冊!ロンドンの貧民街、イーストエンド。住む家がなく、さ迷い続ける。想像してみてください。空腹や寒さで今にも倒れそうなのに、少しでも立ち止まると警官に「立ち止まるな!歩き続けろ!」とわめかれる。作者は断言する。文明国より、エスキモーのほうがはるかに豊かな生活をしていると。何より恐ろしいのは、どんな生活にも慣れてしまう人間の適応能力。今の生活に疑問を持つことも時には必要かもしれないです。2017/03/02

トムトム

22
そんなに昔の話じゃないのに想像以上に悲惨。100年ちょっと前のイギリススラム街に、ジャックロンドンが潜入取材!なんか先進国というか大英帝国というか歴史ある国のイギリスだと思っていたのに、こんな時代もあったのねと驚きました。なんだかんだで現代日本は幸せです。2019/07/15

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