出版社内容情報
一八五一年に発表されたメルヴィルの代表作.海の男エイハブ船長が,その乗組員とともに,太平洋の怪物“白鯨モゥビ・ディク”を追って船をめぐらし,ついにこれと凄惨な戦いを展開する雄壮な物語.海洋文学として世界最大の作品であり,また人間と運命との争いを象徴した文学として,近年非常に高く評価されている.
内容説明
「モービィ・ディックだ!」―エイハブ船長の高揚した叫び声がとどろきわたった。執拗に追い続けてきたあの白い巨大な鯨が、ついに姿を現わしたのだ。恐るべき海獣との壮絶な「死闘劇」がいよいよ始まる。アメリカ文学が誇る叙事詩的巨編、堂々の完結。
著者等紹介
メルヴィル[メルヴィル][Melville]
1819年8月1日生まれ。1832年オールバニー・アカデミーを中退して、ニューヨーク州立銀行の事務員になる。1835年オールバニー古典学校にかよう。1846年『タイピー』を2月ロンドンで、5月ニューヨークで出版し、好評を博す。1851年『白鯨』完成。1876年長篇詩『クラレル』(Clarel)を出版。1891年9月28日、死去
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
135
遂に世界十大小説の終章を迎えました。しっかし135章に渡っての壮大且つ、壮絶な作品は終わってみれば圧巻としか言いようがありませんでした。今は完走できた達成感の方が優っていますが、やはり「人間と神(≒鯨)の闘い」と置き換えられる、つまり聖書のオマージュ的要素が反映された作品であったと思いました。その意味で、哲学的な見方をするには再読必須という感じがしました。またいつか!2023/04/23
はたっぴ
113
完結編を満喫。たっぷり焦らされてきただけにクライマックスの人間vs白鯨の死闘は迫力満点だった。このためにこれまで延々と鯨学を聴き、芝居や演劇仕立ての物語を読み続けてきたのだ。上巻からずっと崇めるような気持ちで白鯨の姿を待ち望んできたが、大海原の主として威風堂々の登場だった。上中巻で神話や逸話もふんだんに綴られており、神秘のベールに包まれたモービィ・ディック。エイハブ船長が取り憑かれたように執着していたことが滑稽に思えるほど、最後まで人間の無力さを見せつけられた。見事な挿絵も記憶に残る名作だ。【G1000】2017/05/17
榊原 香織
95
完読。 エイハブ船長のラスボス感は獏の方が強し。 日本近海で台風に出会い、セントエルモの火に取り巻かれるとこ、美し。 解説によると、物語は粗けれど様々な深読みができる作品。 え、ボーイズラブ?2021/09/05
南雲吾朗
77
長きに渡る、鯨学、船乗りの生活などの記述の後に、やっと待ちに待ったモビー・ディック登場。今までの記述とはかけ離れた臨場感あふれる鯨との死闘。この最後の章のためだけに今迄の長い記述が準備されていたのか?!とにかく最後は圧巻である!個人的には、狂気に満ちた追撃で疲れてきたエイハブが気の狂ったピップに慰みを見出す場面が好きである。長編小説であったが、読んで良かった。2019/10/24
Vakira
68
下巻は約400ページ。下巻になっても白鯨はなかなか登場しない。ラスト50ページで待ちに待ってやっと登場。死闘となるも文章では躍動感あるものの、なかなか映像が見えてこない。捕鯨用ボートが破壊される様はイメージ出来るが、捕鯨船まで破壊されるものなのか?今までの鯨学、捕鯨ハウツー、船舶雑学などリアリズムに説明されてきたのにここだけは怪獣物の世界だ。それも最後の数ページ。楽しんで読んできたのにあっけなく終了。訳者の八木さん語りと表現が面白いし、本人もかなり楽しんで訳した感あり。2016/04/07