出版社内容情報
ハーディの小説の特長として，ストーリーの面白さ，詩的な香気，魅力ある登場人物があげられよう．実生活を描いては人情の機微に触れ，愛と運命を描いては陰影に満ち，生の皮肉に冷ややかな哲理を漂わす．詩趣豊かな作品6篇を収録．
内容説明
まだ会ったこともない詩人に恋い焦がれた女が、その命と引き換えに生んだ子供は…。表題作のほか、ハーディの代表的な短篇を精選。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
めがねまる
16
『幻想を追ふ女』『妻ゆえに』『気安めに』のみ読了。表題作『幻を追ふ女』は、詩人の夫人が、ひょんなことから尊敬する詩人の部屋を借りたことで思慕を募らせる話。すんでの所で会えないすれ違いを続け、ますます想いを強くする夫人がとても可愛らしい。詩人は死に、夫人は夫との子供を生んで死んでしまうが、その子供は詩人に瓜二つだった……という、冷静に考えたらあり得ない結末だけど、それまでの夫人の想いの強さが伝わる描写で荒唐無稽の感は薄い。良質の幻想小説だ。ただしどの短編も感傷的で、続けて読むとうんざりする。ドロップアウト。2019/03/30
