出版社内容情報
弟に毒殺されたデンマーク王の亡霊が王子ハムレットに真相を告げ復讐を迫る.苦悩しながらも復讐を遂げ自らも毒刃に倒れるハムレット-古くから伝わる復讐譚を近代的な心理悲劇に仕立て上げた,詩人の代表作.(新訳)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハイク
138
時折世界の名著を読むとの事で今回は「ハムレット」を選んだ。昔、原語で一部を読んだがほとんど覚えていない。有名な言葉「To be,or not to be」近辺をかすかに覚えている。何故こんなに古典の名作なのであるか?が最大の疑問であった。読後感としては人はどう生きるのか?という人間として最大の命題がテーマとなっているからと思う。答えはない、各人がそれぞれ考え行動して行くということあろう。また物語はハムレットの行動等疑問が多々ある。これが解釈を難しくしているのだろう。今度は機会を作り舞台で鑑賞してみたい。2016/09/02
ケイ
116
松岡氏のシェイクスピア33巻完訳読書中に、ハムレットを岩波で再読。ハムレットという作品自体の読みにくさと作品を覆う暗さを改めて感じた。道化役が出てこないからボローニアスがそれを担うのだろうが半ばで殺されてしまうし、主要登場人物がみな死んでしまうだけでなく、髑髏を挟んでホレイショーと墓場で話す場面かなんとも生々しく、恐怖すら覚える。当時の作品では、復讐した者自身も死ぬ運命にあったらしい。読んでいて感じる不穏さは、シェイクスピア自身が息子ハムネットを感染症で亡くしたことがやはり根底にあるのだろうか。2022/01/10
lily
89
金輪際自ら破滅に向かう精神には共感しにくい。韓国ドラマのように復讐は崇高な精神によって知性とユーモアをもって相手の最も大切なものを奪う方向でいかなくちゃ。主人公は何時でもロールモデルでなくてはいけないの。2021/05/03
Major
54
シェイクスピア悲劇創作時代(円熟期)の幕開けともなったこの作品について、読書会でも話題になったが、「悲劇性は一体どこにあるのか」という問題はこの作品をテクストとして読みこむ上で、本質を衝く問題の一つである。僕はこの作品の悲劇性を、「結果としての死」に見出さない。(作品最終場面において次々と登場人物達が死んでいく「どたばた劇」に近いような実際の舞台劇場面を想起せよ。この場面においてコントで用いられるようなBGMが流されれば、風刺的な喜劇にも転じてしまうことを僕たちは想像し得るであろう。)2つのコメントへ続く2020/05/12
Major
47
【再読レビューⅢ】しかし、この時点において一度実存の深淵を垣間見たハムレットは、この此岸で起きている柵における自己存在の在り様を客観化する心眼を持ち得たのである。他者の立場、自己との関係性そして当時の宗教常識といったものを慮る点において、第一独白の時点よりも明らかに深くなっている。しかし、このことは逆説的にハムレットがロゴスに囚われていき、ますます自己疎外に陥っていく過程でもある。この独白で再びハムレットは「この世の外なる世界」と「この世」との間の二項対立の世界を想起する。2020/05/12