岩波文庫<br> アベラールとエロイーズ - 愛と修道の手紙

岩波文庫
アベラールとエロイーズ - 愛と修道の手紙

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  • サイズ 文庫判/ページ数 397p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784003211915
  • NDC分類 132.2
  • Cコード C0198

出版社内容情報

アベラールは中世哲学界の一高峰,才色兼備のエロイーズは彼の弟子であったが,その師弟関係はいつしか恋愛関係に変った.しかしそれも束の間,一夜の奇しき突発事件のために彼らは世を捨て別々に修道院生活に入った.本書は二人の間にかわされた恋愛書簡であり,愛と修道との血のにじむような相剋は読者の胸を打ってやまない.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

松本直哉

21
学識と地位を武器にしたアベラールのエロイーズへの求愛は今で言うセクハラそのもので、なぜか前者の手紙が常体、後者が敬体で訳されているためなおさら上から目線で偉そうに聞こえるが、エロイーズが負けずに言い返しているのがかっこいい。男性器切断事件は恥辱の極みであっても、煩悩の原因を断たれて却って学問に専念できてよかったなどと書いているが、肉慾を離れたところに成り立つ信仰や神学に何ほどの価値があろうか。肉的なものとの葛藤の中でこその信仰ではなかろうか。キリストの「受肉」とはまさにその意味ではなかったか。2019/02/10

Foufou

6
アベラール39歳、エロイーズ17歳。前者は師を悉く論破し名声を高めるが、家庭教師先の娘を孕ませたのが躓きの石、責任を取るべく結婚するも娘の親族恨み浅からず、寝込みを襲われ去勢される。聖職を追われ荒野に修道院を建てるも信奉者から毒蛇を仕掛けられ、挙句は落馬して首の骨を折る。「フランス中の嫉妬」に対する呪詛は止まず、これほどの運命に比べれば君の苦しみなどいかほどでもないと手紙の受け手を慰める。一方のエロイーズの書簡は慈愛に満ちており、過保護ママのよう。ある種のプレイかな、と口さがない現代人なら言いかねない。2019/10/02

天動火茶遠

2
第一書簡での自画自賛っぷりを差し引いても、アベラールが抜群に頭のいい人間だということは間違いなくわかりました。確かに彼は哲学史に名を残してもおかしくないです。第四書簡までもそれなり面白かったけど、むしろ第五書簡以降が興味津々でした。キリスト教の教義には詳しくないけれど、ベネディクト会士としての考え方、修道院規則などはとても参考になりました。某ベネディクト会修道院ミステリを読む上で感じていた疑問がクリアに(笑)あちらはフィクションだけど、こちらのほうが時代が古いということは、基本思想の根はこちらにあるよね。2013/01/24

takeakisky

1
愛の往復書簡と勝手に思い込んでいたが、副題のとおり愛と修道の手紙だった。アベラールの「公」的な手紙に対しエロイーズの「私」信。予め多くの人の目に入ることを想定したアベラールの修道の手紙と直截な想いの綴られたエロイーズの手紙。そのどちらにもそれぞれ魅力があるけれど、エロイーズの手紙の方が当然胸をうつ。アベラールの長い第七書簡をなんとか読み了えたあと、アベラールの手紙が続くのに気づいたときの軽い絶望。そして第八書簡の第七書簡を上回る長さ。もし再び読むことがあったなら、アベラールの手紙は梗概だけで済ませよう…。2023/12/17

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