出版社内容情報
一○年にわたるトロイア戦争が終結.オデュッセウスは,帰国の途中嵐に襲われ,さらに一○年の漂流冒険ののち,神々の援けを得て二○年ぶりに帰還,留守の間妻を苦しめていた悪逆な求婚者たちを討ち亡ぼす.『イリアス』とともにヨーロッパ文学の源泉と仰がれる,劇的な盛り上りに満ちた大英雄叙事詩.新たな訳者による新版.
内容説明
トロイア戦争が終結。英雄オデュッセウスは故国イタケへの帰途、嵐に襲われて漂流、さらに一〇年にわたる冒険が始まる。『イリアス』とともにヨーロッパ文学の源泉と仰がれる、ギリシア最古の大英雄叙事詩の、新たな訳者による新版。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のっち♬
156
トロイア戦争終結後、帰途で漂流したオデュッセウスの10年に及ぶ漂泊譚。荒々しい感情が渦巻く『イリアス』に対してこの続編は比喩を控えた淡々とした語りが基調。人喰い巨人、動物に変身させる魔女、死者との邂逅、セイレーンの誘惑など古今東西で語り継がれてきた超自然的な怪異談が並ぶ。繰り出される機知が奇抜だったり、家族が逼迫していたりと娯楽要素は豊富。ポセイダオンの怒りにオデュッセウスの非はないし、オデュッセウスも力を行使する際は容赦ない。「なんでもできるお方」ほど正義云々よりも「気の向くまま」に振る舞うのが常態だ。2022/08/10
ケイ
150
イリアス下巻が手元になく、飛ばしてこちらから読むと、戦争ではなく冒険談だった。剣や盾がぶつかり合う音は殆どないが、1つ1つの話しが面白い。トロイ戦争に10年。そこからさらに10年たっても故郷に帰ってこない父オデュッセウスを探しに出る息子。傍若無人な母の婚約者たち。オットに操を立て待ち続ける妻。しかしオデュッセウスは女性にもモテるのだ。10年の漂流はつらいが、転んでもただでは起きないオデュッセウス。男を騙して毒を飲ませようとするキルケや、セイレーンの歌を聞くまいと自らを縛り付けさせた絵は、『怖い絵』にあった2017/09/11
藤月はな(灯れ松明の火)
95
トロイア戦争が終結したが、戦士、オデュッセイアは神の呪いに触れ、流浪していた。だが、女神、アテナの庇護下にある彼はへこたれる男ではなかった。そんな彼が半生をナウシカーナ達に語りかける姿は何ともドラマチックだ。特に男を誘惑し、家畜に変える魔女キケロとの男女の主導権を巡る駆け引きはどこか、官能的。しかし、オデュッセイアの部下を叩き殺し、脳髄を啜る反面、羊達には優しいキュプクロスに可愛さを感じてしまい、複雑な気分^^;冥界にいる懐かしき人々との出会いは、ダンテの『神曲 地獄篇』のようだ。2017/10/26
ずっきん
81
イリアス沼からやっとこちらへ。ポセイドンの怒りを買い、漂流しまくるオデュッセウスの冒険譚。『イリアス』に比べ、構成に厚みがあって疾走感もある。『イリアス』が行進なら『オデュッセウス』はスキップ時々反復横跳び。故郷へ帰りたいと泣きながらもモテまくるオデュッセウス。「父ちゃんどこー?母ちゃんがヤバいんだよ!」とジタバタするテレマコス。物語の技巧はこちらの方が上かもしれない。読みやすい散文でありながら叙事詩の美しさも留める松平氏の訳がまた素晴らしく、好みとしては断然『イリアス』なんだけど、いやもう純粋に楽しい。2022/06/19
NAO
74
トロイア戦争後、神の怒りに触れ長年に渡って漂流を続けたオデュッセウスの冒険譚は、時系列通りではなく、20年後息子のテレマコスが父探しに出るところから始まる。オデュッセウスをめぐっての神々の複雑な駆け引き、最高神といわれながらも怒り狂うポセイドンを鎮められないゼウスと、ギリシャの神々はなんともたまらなく人間臭い。オデュッセウスがようやくの思いでたどり着いたパイエケスで彼を助けた王女が、ナウシカア。2017/03/01