出版社内容情報
正妃の侍女マーラヴィカーに一目惚れしたアグニミトラ王は,腹心の道化に知恵を仰ぎながら彼女の愛を得ようと腐心するが,さて…….サンスクリット文学最大の詩人カーリダーサのこの戯曲は,喜劇風の軽快な展開で現代のわれわれを飽かず楽しませてくれる.併収は,神話に取材した恋愛劇「武勲王に契られし天女ウルヴァシー」.
内容説明
正妃の侍女マーラヴィカーに一目惚れしたアグニミトラ王は、腹心の道化に知恵を仰ぎながら彼女の愛を得ようと腐心するが、さて…。サンスクリット文学最大の詩人カーリダーサ(4世紀末頃)のこの戯曲は、喜劇風の軽快な展開で現代のわれわれを飽かず楽しませてくれる。ほかに神話に取材した恋愛劇1篇を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
YO)))
23
表題作は筋書きとしてはまんまご都合主義ラブコメで、ヒロインの踊子をはじめとして、お妃、愛人、尼さん、侍女などなど、魅力的な女性キャラが多数登場するので、ラノベ/アニメ化イケると思います。2017/04/12
うちこ
4
"芸のためなら女房も泣かすぅ~♪" と唄い出しそうな勢いの権力者の浮気話。カーリダーサはインドの歴史でいえばそれはそれはもう偉大なる作家というか伝説の人というくらいの存在だけど、戯曲の構成の中に見られる風刺やコメディ要素はモリエールのようなおもしろさ。 先に読んだ辻直四郎訳「シャクンタラー姫」は代表作といわれるもので話そのものがすごく完成されているのだけど、それ以前に書かれた「公女マーラヴィカーとアグニミトラ王」「ヴィクラマに契られし天女ヴルヴァシー」は大御所になる前のやんちゃな自由さがあっておもしろい。2020/06/23
綾野理瀬(Ayano Lise)
0
表題作ともう一作収録。「マーラヴィカー」は、明るい恋愛喜劇で、「シャクンタラー」以上に道化が大活躍。往年の名幇間の「幇間は馬鹿では務まらない」という言葉があるが、道化も馬鹿では務まらない。馬鹿を装った知恵者である。読後感はすっきりだが、浮気っぽい王にはげんなり。正妃も大変だ。「ウルヴァシー」は、少し悲劇が入るが、滅入るほどのものではない。いずれも王道、安心して読める。2015/08/09