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岩波文庫
シャクンタラー姫

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  • サイズ 文庫判/ページ数 235p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003206416
  • NDC分類 929.882
  • Cコード C0101

出版社内容情報

単純可憐の中に女性の誇りを失わぬシャクンタラー.指環と呪詛をめぐるこの戯曲は,カーリダーサの作品中最も有名なものであるばかりでなく,サンスクリット劇中最大の傑作といわれる.ゲーテの『ファウスト』のプロローグに影響の跡を留ていることはつとに知られるところである.訳者による「サンスクリット劇入門」を併収.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

NAO

66
もともとは『マー・バーラタ』の中に挿入されていた「シャクンタラー物語」を効果的、抒情的に改作したカーリ・ダーサの『シャクンタラー姫』は、サンスクリット文学の至宝ともいえる。彼が活躍していた時代はグプタ朝の最盛期で、戯曲の巧みな構成や繊細で詩情に溢れた美しい描写は、当時の華やかな宮廷文化によって大きく開花したといえる。第4幕「シャクンタラーの門出」における別れのシーン、第6幕「シャクンタラーとの別居」における王の嘆きの深さを描いた流麗で美しい文章は、強く心に残る名文。2017/10/29

壱萬弐仟縁

37
王:愚か者、苦行者は、山と積まれた宝石にも増して、尊ばれるものじゃ。見よ、国たみの 王者に貢ぐ 富の山 尽くる時あり、尽きせぬは 森の隠者が 捧げこす 苦行の貢(50頁)。二人の伝令その一人:おのが楽しみ 顧みなくて 日毎世のため 身をば疲らす、さもあらば あれそは生れつき 君に備わる 徳にこそあれ。巨いなる木は 烈しき暑さ おのが頭にさえぎり支え 憩い求めて 立ちよる人に 木陰涼しき 影を惜しまず(107頁)。2015/09/07

かごむし

29
訳者のはからいで擬古体を用いて訳されているので、読みにくいことこの上なかったけど、その訳者の苦心のたまものでもあろう、美しさに魅入られたように読み終わってしまったというのが正直な感想。5世紀頃に書かれたこのサンスクリット劇は、構成もセリフも表現も、どこかで見たことのあるもので、とっくに使い古された技法であるはずなのに、人を愛する心の高鳴りを、別れの悲しみを、友情の喜びを、高らかにうたって心を震わせられた。技術というのは時と共に進歩していくはずのものであるのに、この技巧的な作品の素晴らしさはどうであろうか。2016/09/18

syaori

23
シャクンタラー姫とドゥフシャンタ王のラブロマンスです。物語は恋愛物の王道で、出会い、記憶喪失(!)、別離、再開で大団円という流れです。緻密な心情描写などはあまりないのですが、素朴で洗練された感じで上品です。姫が愛の証拠の指輪をなくしてしまったり、その指輪が魚の腹から出てきたり、親子が天上界で再開したりと、昔話や神話のような要素もあってその辺も楽しかったです。姫の友達2人やヴィドゥーシャカ(道化)もいい味を出していました。巻末の「サンスクリット劇入門」を先に読んだほうがト書き部分などを楽しめると思います。2016/04/30

S.Mori

15
インド文学の古典の劇です。シャクンタラー姫が人間界の男と恋に落ちて結ばれるのですが、捨てられてしまいます。このあたりは人間の男の酷薄さをうまく表現している気がしました。劇中の詩的な部分を擬古体で訳している訳者の工夫に頭が下がります。この部分は本当に美しくて、『源氏物語』などの日本の古典を読むような感じでした。シャクンタラー姫は異界に棲む妖精のような存在です。神韻渺渺たる異界の描写は一部の泉鏡花の作品と共通するものを感じます。最終的に王は正気を取り戻し、シャクンタラー姫を救います。後味の良い結末でした。2020/03/22

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