出版社内容情報
(一)―(三)の訳者(小野忍)急逝のため中断していた『西遊記』が新しい訳者にひきつがれた.花果山にいた孫悟空も一行に加わり,天竺への旅は再開された.だが道は遠く,次々と現れる妖怪が行手を阻む.この物語の魅力の一つは,彼らを悟空が秘術を尽してやっつけるところにあり,どこから読んでもその面白さが満喫できる.
内容説明
七世紀の玄奘三蔵による仏教経典取得の旅行記『大唐西域記』から生まれ、その後民間で発達した説話を、明代になってまとめた中国四大奇書の一つ。第1巻は、悟空の誕生から、天宮で傍若無人に振舞うさまを描く。各冊十回ずつを収録。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
152
西遊記と言えば、香取慎吾君が悟空役をしているのを息子と観た記憶が新しいが、あまり面白くなかったように覚えている。しかし、原作は面白い。そして今さらながら色々と勉強になった。干支を使った時間や一年の見方。3月3日は桃とは中国から来たのだということ。そして、悟空は岩から生まれたということ。向学心、向上心が強く、悟空もそれゆえに頂いた名前だという事。なのに、すぐ鼻高々でいい気になってしまうのね。下手に強いし、物覚がいいからタチが悪い。一巻では、取り敢えず悪さが過ぎて岩の下に入れられちゃった。2017/09/18
kaizen@名古屋de朝活読書会
97
西遊記は奥が深そう。最初もっと短い、子供用の本を読みました。 中国と印度の歴史をおさらいしながら読み返しています。 興味が持てる版から読み始めるとよいかも。2013/05/07
セウテス
61
子供の頃の児童向け作品から、「水滸伝」と共に何回も読んできた物語で、軽く20回位は読んだだろう。勿論それぞれ訳者さんが違うのだが、本作品の翻訳は今までに無い現代的な訳でたいへん読みやすい。しかしその訳註の博識を読むだけでも、ちょっとした文献なみだと驚いたのだが、訳者の方のご苦労が解るというものだ。花果山に生じた天地の石より生まれた猿が、斉天大聖と自ら名乗り暴れ放題。やがて釈迦如来により五行山に封印される迄を描いている。これだけ読んで来ても尚、わくわくしながら読めるのは、数多くのコミックの原作だからだろう。2018/01/16
NAO
58
東勝神洲傲来国の花果山に生じた石の卵から生まれた孫悟空。新訳はテンポのよい口語調のくだけた訳で、漢詩の訳もリズミカル。釈迦如来による封印までの孫悟空のやりたい放題がとにかく面白い。中でも、武器をねだりに東海龍宮へ行った孫悟空が如意金箍棒を手に入れるくだりなどは掛け合い漫才のようだ。訳が軽すぎると思う人もいるかもしれないが、私は、この話自体が妖怪変化続出の痛快な活劇なのだから、こういう訳もありだと思う。唐の太宗に地獄めぐりまでさせていたとは、知っているようで意外と知らないことが多い『西遊記』、先が楽しみだ。2016/01/21
mii22.
51
子供の頃から何度も親しんできた『西遊記』を中野美代子訳で読む。記憶にあるのは、釈迦如来に五行山に封印された孫悟空が三蔵法師のお供をして旅をするところからだったが、この一巻(第十回まで)では三蔵法師はまだ登場しない。花果山の仙石が産み落とした石卵から生まれた石ザル(孫悟空)が猴王となり、力をつけてやりたい放題。お馴染みの筋斗雲や如意金箍棒を手にいれ大暴れするまでが意外と知らなかった部分でここがかなり面白い。訳がかなりくだけていてテンポよく読みやすい。訳注は多いがあまり気にせずどんどん読んでいこう。2016/10/20