出版社内容情報
雪の博士として知られる中谷宇吉郎が訪れた,樺太,満州,そして戦後,雪氷学の研究・視察に赴いたアラスカ,ハワイなどアメリカ各地,極北のグリーンランドでの記録.折々の随想のなかに雪氷研究の重要性が示される.
内容説明
雪の博士として世界的にも知られる中谷宇吉郎は、満州、樺太、アラスカ、ハワイなどを訪れ、寒冷地の自然、人々の暮し、各地での研究の様子を記した。最後に病をおして赴いたグリーンランドでの研究は、後の極地調査に受け継がれるものである。
目次
ツーン湖のほとり
ツンドラへの旅
満州通信
永久凍土地帯
アメリカの旅
アラスカ通信
ネバダ通信
ウィネッカの秋
ウィネッカの冬
黒い月の世界
白い月の世界
極北の氷の下の町
極北の神秘・氷島
アラスカの氷河
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tenouji
15
昔の科学エッセイ、となめてはいけないw。面白かったので、一気読み。好奇心と冒険心が混じった、フィールド科学の醍醐味が伝わってくる。旅客機での移動にアメリカの本質を見抜いたり、温暖化への懸念も書かれていて、今読むからこそ、更にイイのかもしれません。2020/03/24
り
12
久々に雪も積もったことだし、と読み始める。雪の研究者、中谷宇吉郎氏の紀行集。相当ハードな場所に行っているのに、研究楽しくて仕方ないんだろうなと伝わってきました。なんだか少年のよう。研究者ってそういうものなんだろうか。随筆も読んでみたいし、雪の科学館もまた行きたい!2017/01/21
ねね
7
紀行文の体で、いつもの宇吉郎先生の科学随筆とは少し雰囲気が違う。好きなのはやっぱり、科学随筆、中でも雪についての実験の話が一番好きだな。でもこれはこれで、やっぱり科学的な話(永久凍土の氷の結晶話や、氷の滑走路の作り方、氷河の流れ方、地球の歴史についてなど)もあり興味深かった。地球の事もまだまだ解らない事だらけだ。いつも実在の著名な科学者との交流や足跡を生で体感させる、その時代の証言とも言うべき記述が感慨深い。今回は大陸移動説のウェーゲナー教授がグリーンランドで失踪した話について。2014/04/09
壱萬弐仟縁
6
他著よりも大きめの字体。永久凍土地帯(52ページ~)で「外は零下三十度近い寒さ」。評者はせいぜい小学生の頃のマイナス18度まで。スケート教室のときはマイナス15度だった記憶がある。アラスカは物価高(91ページ)。北極圏は夜がない(103ページ)。夏はマシだが、冬はすぐに夜になってしまい、体調不良を招いた。こんなんだったら、映画とか花火とか、暗闇文化がはやるのかどうか。クリスマス前後は零下四十度で最低零下51度(105ページ)。想像を絶する。生きている地球を見るのにうってつけなのは噴火丘(190ページ)。2012/12/23
syam
3
読みやすいから流しがちだけど、行ってる場所の過酷さは半端じゃない。2015/12/26