出版社内容情報
妻には愛人があり,夫は外人娼婦へ通うという奇妙な夫婦関係の中で,妻を心理的にも対社会的にも傷つけずに円満に離別するにはどうしたらよいかをモチーフにして,同時代の文明に真正面から対峙し,その本質に迫った傑作小説.近代挿絵史上の傑作といわれる小出楢重の挿絵八三葉をすべて収録. (解説 平野 謙)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Happy Like a Honeybee
9
結局のところは、過去の絆を断ち切るだけではないのか。 婚姻関係について、谷崎氏が一石を投じた作品。 随所に女性への偏見が散見される。 女性とは神か玩具か。拝跪する存在か。 雪隠哲学と言う言葉は、現代では聞きなれない。2018/03/05
ge_ha
7
互いに全く憎しみ合うことなく離婚を決意した夫婦。そのうえで、自分も妻も息子も傷つけず分かれることができるか、っていう、わがままな主人公の小説。途中、話の本筋とは違う、上方文化や人形浄瑠璃や日本家屋についての長く書かれた部分があり、「陰翳礼讃」読んでいたので、なるほど彼らしい、などと分かった風に読むことが出来た。ぼんやりしているところに余韻がある、そんな谷崎の考えや、その考えが文章にも表れていて、それが読んでて心地よくて、谷崎小説から抜け出せない。というわけで本筋とは関係ないところで楽しめた一冊でした。2011/04/01
Yukiho Akechi
5
外国人娼婦を買っている夫と、夫公認で愛人をもつ妻が、如何にまわりを波立たせずに自然に離婚するか......というお話。谷崎が書く、大人の夫婦の冷めた関係の描写、夫が義父の愛人に惹かれていくところ、(夫婦の)子供がさりげなく気を使っているところなど、それぞれの場面が現代でも通じそうなほどリアルで、楽しく読めました。人形浄瑠璃のあたりも、情緒があってよいです。フィクションなんでしょうけど、谷崎の実際の夫婦生活も少なからず関係している気がぷんぷんします(嫁譲渡事件)。他、読みたかった谷崎作品色々読んでいきます。2015/01/11
多目的トマソン
2
徹頭徹尾、離婚するかどうかでうじうじ悩んで終わる。本当に何の進展もしない。 しかしハッとさせられるところ、共感するところが随所にあって、谷崎美学をたっぷり堪能できること間違いなし。 さらに、平野謙さんの解説でそういうことかと腑に落ちる。解説まで読んで初めて『蓼喰う虫』という作品を味わえた気がする。2018/01/04
ユーミン
2
読後に谷崎の妻と親友の件を知りました... 男女関係のいろいろな形が、どれも否定的でなく描かれていてさらりと読める印象 挿し絵もキュートで、助けられつつ読みました2011/09/21