出版社内容情報
伏姫割腹のおり光を発して飛び散った八個の珠数玉．ゆっくりと物語が進行するに従い，それぞれに一個の玉を持ち八方に生い立った八犬士の面々が，一人また一人と登場してくる．雄大・複雑な筋立て，リズミカルな文章，興趣を添える挿絵が，読者を『八犬伝』の世界へと誘う．作者はこの作品に二十八年の歳月を費やした．
内容説明
内田魯庵が「船虫の一生の如き、単なる一挿話とするには惜しい話材」と評した妖婦船虫が、先ず盗賊の女房として、次に郷士の女房として登場。また、女田楽師旦開野じつは犬士の一人毛野が、父の仇馬加一家を斬りまくる対牛楼のくだりも含まれる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
66
刑死直前の犬川荘助を助け出す三犬士の活躍、犬山道雪の敵討ちと見せ場の多い中、『八犬伝』に登場する悪人の中でも数度にわたって犬士たちを苦しめる悪女船虫が登場する。犬士たちは互いに寄り集まったり離れたりを繰り返し、様々な国をめぐり冒険を続けていくが、この巻後半の見どころは、女田楽師朝開野（犬坂毛野）の対牛楼の敵討ち。女装の美少年の胸のすくような大立ち回りは、とにかくかっこいい。一方仲間からはぐれた犬養現八は下野の庚申堂で妖怪を退治するが、その先に控えているさらなる難題は次巻へ持ち越し。2018/01/09
非日常口
25
月一で読書仲間が夜な夜な遊読しているテーマの一つが八犬伝。表とか作ってナビゲートしてくれる人がいて、ハイライトになってるところをピックアップしてもらい、そこを音読していくのはとても面白い体験。昨夜は３巻終わって４巻に入る。2015/04/03
マッピー
9
前巻までに登場した犬士は６人。 そのうち犬山道節とは一瞬の出会いで終わり、犬江新兵衛は神隠しにあってしまう。 今までは仲間が増えていく話だったが、これからは離れ離れになった犬士達それぞれの冒険譚となっていく。 それはいいのだが、どうにも時間の流れがゆったりしてますな。 人生５０年じゃないのかい？ 心の中で突っ込んで、くすくす笑いながら読んでいるけれど、戦うシーンではやはり手に汗を握るし、このメリハリがたまらない。 この調子では八人が勢ぞろいするのはいつのことやら。 とりあえず次は化け猫退治からだ2016/07/19
rouningyou
3
しばらく中断したが再開。何しろ八犬士達の行動規範が実にかったるい仁義礼智なんとかの儒教的な倫理なので、彼らのモノローグは実に言い訳がましく、自発的な欲求は皆無。そんな奴らのために自ら死を選ぶ脇役達の悲しさ。だが魅力的な人物もある。毒女船虫、夏木マリか加賀まりこぐらいしか思い浮かばない。松雪泰子はどうかな？もっと豊満な女優だろうか？犬坂毛野の女装もいい。本当は馬琴は女剣士を出したかったのではないだろうか？とりあえず次の巻に進む。2012/04/12
久美
1
対牛楼の仇討は五月十五日、馬加大記の息子鞍弥吾の誕生日パーティーの夜だった。馬琴の時代にはそれなりにあったらしいが、室町時代に「誕生日を祝う」という風習はどこまで浸透していたのか？調べると面白そう。毛野といい船虫?といい、小文吾はモテるのである。力士だし。2020/02/08
