出版社内容情報
伏姫割腹のおり光を発して飛び散った八個の珠数玉.ゆっくりと物語が進行するに従い,それぞれに一個の玉を持ち八方に生い立った八犬士の面々が,一人また一人と登場してくる.雄大・複雑な筋立て,リズミカルな文章,興趣を添える挿絵が,読者を『八犬伝』の世界へと誘う.作者はこの作品に二十八年の歳月を費やした.
内容説明
伏姫割腹のおり光を発して八方に飛び散った8個の玉には仁義礼智忠信孝悌の8字が現われていた。物語の展開にしたがい、それぞれに1個の玉をもつ八犬士が1人また1人と登場してくる。本巻(第3・3輯)のクライマックスは、二犬士あい打つ芳流閣の場である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
63
額蔵と犬山道節と出会いののち、この巻最大の見せ場、主家の宝刀村雨を偽物とすり替えられた志乃と犬養見八の芳流閣での決戦へ。傷を負った志乃と、犬養見八、犬田小文吾の義侠心に富んだ交流は、芝居の名場面を見ているかのようだ。さらに彼らが滞在する宿の孫息子犬江親兵衛も犬士であることが判明。登場した犬士は一気に6名にまで増える。火薬を使った術が得意な犬山道節は児雷也、相撲が得意な犬田小文吾は雷電がモデルで、当時の読者をひきつけたという。2018/01/05
マッピー
8
七五調のリズムが調子よく、少年ジャンプのように強い引き。こりゃあ、気の短い江戸っ子も、次を待たずばいられまい。2016/07/04
泰月
5
登場人物のつながりがすごい。読むのに時間はかかるんだけどこれは本当に面白い。 2019/11/10
rouningyou
5
なんとまあ、なぜこの物語が世界的なファンタジーとして映画化されないのだろう?数珠から飛び散った八つの珠、それを探す法師。運命に導かれて出会う犬士たち。それぞれが同じようなマッチョな力持ちの豪傑なのが気になる。せめて犬塚信乃ぐらいは女装のままだと良かったな。四犬士が偶然に出会ったあたりから説教くさくなりはしたが、舵九郎の襲撃の描写は手に汗握る。江戸の庶民も熱狂したことだろう。三巻も、音読するのももどかしいハラハラが続くんだろう2012/01/19
kaizen@名古屋de朝活読書会
4
NHKテレビ Jブンガクで本書を知りました。 子供のころ読んだのは、現代版で、簡略化したものだったので、本物を始めて手に取りました。 英語と古典を読み比べてみるのも一興。 日本語の比喩を、英語に変換するのはたいへんだろうなと感じました。 ピアノの英語の文学で、八犬伝の8を引用したものがあることを思い出しました。2009/05/07