出版社内容情報
「胆大小心録」は近世文壇の鬼才上田秋成が晩年の随筆である.不遇孤独の境涯にあってなおかつその信条を曲げることのなかった彼が純真の性情は,ここに人事百般の問題に対する独自の観察批判と大胆率直の筆鋒となって端的に示されている.その捉われない見解には今日もなお傾聴すべき多くのものを蔵している.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
双海(ふたみ)
8
上田秋成の晩年の随筆。独自の観察批判と大胆率直な物言いが特徴。「今世名利の人は、太平の煩はす也。藝技諸道さかんにして涌が如し。是又治國の塵芥なり」2014/02/12
猫丸
7
合理的精神を持ちながら怪異の存在も認める、稀有な知性。先入主に支配されることを嫌い、何でも自分の尺度で測ろうとする。その潔さ、頑迷さが、近世日本では革命的である。まあ、色んなことにイチャモン付けている、とも言えますけどね。もともと大阪人だが、啖呵のキレは心地よい。下巻の国史よもやま話はあまり面白くない。上中巻の随筆部分に笑える話が多い。年譜によれば秋成よりも宣長のほうが年長のはず。その「伊勢の國の人」に向けて「ひが言をいふてなりとも弟子ほしや古事記傳兵衛と人はいふとも」と噛み付く。大胆ですね、秋成さん。2018/09/10
翰林菩薩
3
舌鋒鋭い上田秋成翁のエッセイ集。近世文学であり、古典の中では比較的読みやすいが、そろそろ現代語訳も欲しいところである。2010/03/15
やす
1
國學者も宣長篤胤の系統ばかりではない しき嶋のやまと心のなんのかのうろんな事を又櫻ばな この本に出て來る秋成の歌である2018/09/04