• ポイントキャンペーン

岩波文庫
閑吟集 (新訂)

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 268p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003012819
  • NDC分類 911.64
  • Cコード C0192

出版社内容情報

十六世紀初頭,草庵をむすんだ一隠者が,風雅な宴席に交遊した往時を偲びつつ編んだ歌謡集成.三一一首中,三分の二を恋歌が占める.「我が恋は水に燃えたつ蛍々 物言はで笑止の蛍」「何せうぞ くすんで一期は夢よ ただ狂へ」などで,表現・詩型とも多彩をきわめ,中世人の感性を誌して余すところがない.一句ごとに現代語訳を付す.

内容説明

16世紀初頭、富士の遠望をたよりに草庵をむすんだ隠者が、風雅な宴席に交遊した往時を偲びつつ編んだ歌謡集成。所収歌311首中、3分の2を恋歌が占める。「我が恋は水に燃えたつ蛍々物言はで笑止の蛍」、また「何せうぞくすんで一期は夢よただ狂へ」のような歌まで、表現・詩型とも多彩をきわめ、中世人の感性を誌して余すところがない。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

166
奥書によれば、大永8(1528)年に書かれたとある。筆者も定かではなく、教養もあり風雅も解する隠者であるらしい。漢詩文あり、謡曲あり、また道行文ありと、様々なスタイルの歌謡を集積するが、もっとも精彩を放つのは「ああ惜しや惜しや惜しやの夜よなう」などと歌われる俗謡体の小歌群だろう。また、中世後期(戦国期)に歌われた歌謡であるから、当然そこには無常観を強く反映するのだが、ここに見られるのは「一期は夢よ ただ狂へ」といった近世的な浮世観に近い感覚もほの見える。白拍子たちが宴席で歌った恋の歌が多いからだろうか。2015/01/20

新地学@児童書病発動中

102
いやあ、素晴らしい本だった。中世の人々の歌謡集。彼らの喜びや悲しみ、愁いが痛いほど伝わってくる。昔の人たちも、今の自分たちとそれほど変わらないと思えてくる。恋の悩みは、今も昔も同じだ。露骨すぎる歌もあるが、かえって真実味を感じる。ユーモラスな歌もあって、読みながら何度も吹き出した。「咎もない尺八を 枕にかたりと投げ当てても 淋しや独り寝」などは、鮮やかに情景が浮かんでくる。当たった時の音まで聞こえてきそうだ。これからも繰り返し読んでいきたいと思う。2017/10/06

ココマ

10
名も無き粋な選者の前書きからして美しい。風や雨、流水、落ち葉の 音、獣、昆虫の鳴き声も自然界からの歌だと言い、人は感嘆の声を出しても気持ちが収まらない時に歌で表現し、足らなければ夢中で手を振り足を踏むという。本書には女性作品であろう歌が多く、深い。好きな人の前で緊張してはにかみ、時に相手の心に苦しみ、抱き寄せられては喜ぶ顔が目前に浮かび、中世の人を身近に感じた。男性のほうは「遠距離を駆けつけフラれる俺って何」とか軽い歌もあり、その違いは興味深い。時を超え昔人と共に怒り、苦笑したりと癒しの力を感じる歌本。 2020/09/13

HANA

10
室町時代末期の歌謡集。無常観を素直に謡ったものが多く、それが特に気に入る。謡曲から採ったのもありそちらは日本語のリズムを存分に楽しむことが出来た。「盛りふけゆく八重桜 散ればぞ誘ふ誘えばぞ 散るは程なく露の身の 風を待つ間の程ばかり」「何せうぞ くすんで一期は夢よ ただ狂へ」「あら昔恋しや 恋しや恋しやと 慕へども願へども 甲斐も渚の浦千鳥 音をのみ鳴くばかり」2011/11/28

miyuki

3
12月15日より。中世の歌謡は、ここにかつては今様などにみられたある程度の定型をさえ崩して、まさにあらゆる感情を伝ふべき手段となったかのように繚乱した詞によって伝えられていた。それを醸成した古い時代の和歌や、連歌の世界観が詠み込まれつつ、そのダイレクトな感情表現はまさに歌謡の特権だ。掛詞を駆使した直情的な或る意味で矛盾するそのlyricsは、その表現方法の高さから現在も省みられるべきではないか。とても良い本である。古歌を引きつつ近世後世に受け継がれた謡をも載せる補注がとても為になる。これは熟読すべき。2014/12/23

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/86141
  • ご注意事項