出版社内容情報
「をとこもすなる日記といふものを,をむなもしてみむとてするなり」という冒頭の一句が示すように,貫之(八六八?―九四五)が任地土佐国から船出し辛苦のすえ帰京するまでの一部始終を女性の筆に仮託して綴ったわが国初の仮名文日記.人生の内面や真実を情趣と含蓄に富んだ筆致で描き,次代の女流文学の全盛を導き出す先駆となった.
内容説明
「をとこもすなる日記といふものを、をむなもしてみむとするなり」という冒頭の一句が示すように、紀貫之(868?‐945)が任地土佐国から船出し辛苦のすえ帰京するまでの一部始終を女性の筆に仮託して綴ったわが国初の仮名文日記。人生の内面や真実を情趣と含蓄に富んだ筆致で描き、次代の女流文学の全盛を導き出す先駆となった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
346
をとこもすなる日記といふものををむなもしてみむとてすなり」と起筆される書き出しは広く人口に膾炙しているし、これが女性に仮託された貫之の作品であることもまた周知のことである。ただ、廿二日…、廿三日…といった書きぶりをはじめ、随所に男性の馬脚を現しているのも愛嬌か。内容的には亡き愛児への哀惜と、旅の労苦が伝わるくらいで、更級日記の純情可憐、そして和泉式部日記のもはや日記とも呼べない恋愛文学風のそれには比ぶべくもない。しかし、そうした全てに道を開いたのがこの『土左日記』である。もちろん、日記に限らない。⇒2017/05/02
新地学@児童書病発動中
112
以前読んだ時は途中で挫折したのだが、今度は読み通すことができた。書かれた時代を考えると、驚くほど現代的な内容を持っていると思う。歌物語として優れているし、道中記しても面白い。現在のように交通が発達していない時に、四国から京都まで旅するのは、想像を絶する苦難があったことが手に取るように分かる。一番惹かれるのは叙情性だった。旅をする感傷と過ぎ去った歳月への感傷が行間から滲み出て、しみじみとした気持ちが胸に湧き上がってくる。何度でも読みたくなる名作。2016/12/18
James Hayashi
29
正直かなり驚かされた。千年以上前に書かれた紀行文。男性によって書かれた女性的表記。陸路を通らず海路をとっている事。天候の厳しさ。官僚が地方へ赴任している事など貴重な記述。 2020/05/15
阿呆った(旧・ことうら)
25
日本初の日記文学。935年の12/21-2/20の、土佐から京都までの旅程をかなで表記した作品。天候が悪くて何日も船が進まなかったり、海賊に怯えたり、帰ってきたら家が荒れていたりと、昔の人の移動はいろいろ大変です。2015/11/22
双海(ふたみ)
22
私が死ぬまで音読を続けるであろう一冊・・・。2015/02/12