出版社内容情報
諸行無常・盛者必衰の理を基調に綴られる平家一門の盛衰の物語は,躍動感あふれる文体とあいまって,今なお人々を魅了してやまない.謡曲をはじめ,後世の文芸に大きな影響を与えつづけた軍記文学の代表作.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
88
『平成狸合戦ぽんぽこ』でお馴染みの那須与一の扇の射抜きや学生で腐女子の目覚めにもなっただろう敦盛の最期収録。しかし、下巻を読んで気がついたのは私は戦よりも、戦に至るまでに何があったのかという過程を読むのが好きなのだなという事でした。上巻は平家DQN感が強かったが、下巻になると後白河院の陰湿な策謀による源氏の内部分裂や平家や源頼朝と後白河院に見事に利用された人々の悲惨すぎる最期の方が遣る瀬無い。人は権力を欲するとここまで愚かになるのかと暗澹となる。そして大戦が終わってからの平家狩りや祟りの残虐さにも絶句。2018/05/15
MrO
2
昨年の夏から読み始めて、ようやく上下巻とも完読。人間の愚かさ、せこさ、身勝手さ、気高さなどの諸相が多くの登場人物を介して描かれていれ、すごい人間ドラマになっていると感心。これでようやく、石母田さんの「平家物語」を読むことができることがうれしい。2017/03/07
剛田剛
0
かつては「能登殿最期」「木曽最期」「実盛最期」のような「勇者の物語」に惹かれたものであるが、この歳になり、子を持つ身となってから読み直すと「僧都死去」「維盛最期」「敦盛」「副将被斬」のような「父親の物語」が身に染みてたまらなくなる。ぼくはまだ「平家物語」をきちんと読めていなかったのだな。2019/06/01