内容説明
デオは年のはなれた兄のイノセントとともに、故郷ジンバブエでの虐殺を生きのび、南アフリカを目指す。ところが苦難の果てに待っていたのは、外国人である自分たちに向けられる憎しみとおそれだった。過酷な運命に翻弄されながらも、デオはサッカーで人生を切り開いていく。
著者等紹介
ウィリアムズ,マイケル[ウィリアムズ,マイケル] [Williams,Michael]
南アフリカ、ケープタウン生まれ。劇作家、小説家。ケープタウン・オペラの総合監督をつとめる。大学生の頃からラジオ劇を書きはじめ、25歳で最初の小説を出版する。アフリカの神話を元にしたオペラ作品を手がけるなど、幅広い活動で知られる。YA作品では1994年発表の、Crocodile Burning(未訳)が高い評価を受けた
さくまゆみこ[サクマユミコ]
1947年東京生まれ。出版社勤務を経て翻訳家となる。青山学院女子短期大学子ども学科教授。「アフリカ子どもの本プロジェクト」代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
BlueBerry
48
青少年読書感想文全国コンクール課題図書。かなり悲惨な部分もあって「ホロリッ」ってなっても良さそうなのに何故かあまりそんな感じになれなかった。感情移入しにくい感じだったのは元の文章のせいか、或いは翻訳がわるかったせいなのか・・・?私自身のタイミングが悪かったのかもしれない・・。2014/04/15
星落秋風五丈原
25
ジンバブエから南アフリカに逃れてきたサッカー好きな少年デオの苦難の物語。2017/06/15
けんとまん1007
22
まさに、今、この瞬間も拡大しつつある問題。貧困、対立、憎悪、不満と不安の捌け口として利用されているふしすらある。生きるとは、そのためには希望。その希望すら奪い取られる世界もある。ただし、それがすべてではないことも事実。明日がある。そこに希望の光もある。そんな現実に目をつむらないことが大切。我々のこに国とは関係のないことではない、どころか、片棒をかついでいるかもしれない。ホームレス・ワールドカップ、初めて知った。野武士ジャパンhttp://www.nobushijapan.org/ここが第一歩かもしれない。2014/09/15
タカラ~ム
20
ムガベ大統領による独裁が行われていたジンバブエ。不法入国の外国人に対する憎悪から襲撃事件を引き起こすに至る南アフリカ。ホームレス・ワールドカップの存在。この物語には私たちの知らない世界の現実が描かれている。デオやイノセントのように国家による虐殺を逃れ、安息を求めて逃げ込んだ先でそこに暮らす人々から虐げられる悲惨な人たちがいる。その事実を私たちは知らない。海外文学はそういう様々な現実を教えてくれる。過去に世界で起きていたこと。いま世界で起きていること。知ることの大切さを考えた。2019/07/18
もえたく
13
今年の高校生の課題図書のため、タイトルからストリートチルドレンのサッカー成功物語ぐらいに思っていたが、ジンバブエの虐殺から南アフリカに逃れた兄弟の過酷な物語でした。ゼノフォビア(外国人憎悪)やホームレスワールドカップというのを初めて知りました。W杯前に考えさせられる一冊でした。2014/06/10