出版社内容情報
少年デイビドの家に預けられた大時計には,第1次世界大戦前夜に起こったシェパートン大佐死亡事件の謎が隠されていた.少年たちは,まっ暗な教会の塔をのぼり秘密へと近づいてゆく.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
帽子を編みます
10
面白かった!まさにイギリスの児童文学という本でした。三人の少年が謎をとき、冒険をする。三人の個性が書きわけられているし、足の不自由な少年の本人の苦しみ、周りの人の自然な気遣い、(こういう友情は、いいなぁ)描くのが上手いです。脇を固める大人たちも個性豊かで、思いやりと子ども時代を忘れない人たちで最高です。冒険をやりこなしてシェパートン大佐への思いも形に残せて感動の終わり方でした。さらに、三人が活躍する続編があるだなんて、期待が高まります。読書の楽しみを味わいました。2020/04/29
サラサラココ
5
小2、あらかじめ読んでから、3人の男の子が主人公と分かり、この本を手渡したら、「この湖にボート禁止」以上の面白さだったとのこと。教会内部の描写も細かく、言葉も難しめなので、高学年向けではないだろうか。例えば、電話線の碍子って??私としては、いろいろな要素が終結に向けて納得できる事柄になっていて、話の面白さもラストに向けてどんどん増す、スターマイン的な印象を持った。こんなに面白いのに、すごく読まれている感がなくてびっくり。2020/08/21
timeturner
4
いいなあ、これ。個性の異なる少年3人の友情、古い大時計にまつわる秘密、教会の構造をうまく使った冒険の数々。信頼できる大人たちがそばにいてくれる安心感。読んでいてこんなに気持ちよく笑えることはめったにない。2022/10/09
菱沼
2
再読。昔この岩浪世界児童文学集をそろえたので、シリーズ中この一冊だけは手元にある。少年たちがごく自然に信頼と思いやりで関係を作っている。最後の方で「アーサーは、勇気というものは赤毛と同じように生まれつきのものだと思っていた」とあるのを読んで、彼らは「美徳」を自分の容姿のように、あるがままに押しつけがましくなく身につけているのだと感じた。チャーリーじいさんが、アーサーのデイビドへの友情を評価する言葉、デイビドやピーターの父の息子への対し方など、大人の在り方に襟を正さなくてはと思いながら読んだ。2017/06/26
がる
2
チャーリーじいさんの話し方が好き。ミンおばさんが‘むらさきおばさん’になっちゃったのにはちょっと嬉しくなったり。大人達もみんなやさしいし、少年達の推理と冒険が素敵。勇敢に戦ったシェパートン大佐の遺志が、時を超えて少年達に伝わる素敵な物語でした。作者のフィリップ・ターナー氏は元牧師。続編の「ハイフォースの地主屋敷」でカーネギー賞受賞。シリーズ全作、なんとか手に入れたいなぁ。2012/03/20