出版社内容情報
貧しいフェルコーは絵が得意だが,絵具を持っていない.野原の花のしるでつくった青い絵具で空を描いた少年は,つぎつぎと不思議な出来事にめぐりあう.みずみずしいハンガリーの名作.
内容説明
フェルコーは貧しい母親と二人暮らし。少年が、野原の花の汁でつくった青い絵の具で空を描くと、その空にほんものの太陽や月や星が輝きだしました。少年は、つぎつぎと不思議な出来事にめぐりあいます。みずみずしいハンガリーの名作。小学4・5年以上。
著者等紹介
ベーラ,バラージュ[ベーラ,バラージュ][B´ela,Bal´azs]
1884‐1949。ハンガリーの詩人・作家。母は、ドイツ人。首都ブダペストの大学を卒業。作曲家コダーイ、バルトークや、哲学者ルカーチと親交を深める。ハンガリー革命に参加するが、革命政府は瓦解し、1919年ウィーンへ亡命。ベルリン、モスクワなどでの長い亡命生活の後、1945年に帰国した
徳永康元[トクナガヤスモト]
1912年、東京生まれ。東京帝大卒業。関西外国語大学教授、東京外国語大学名誉教授。専門は、ハンガリー語、ハンガリー文学
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感想・レビュー
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新地学@児童書病発動中
128
ハンガリーの児童文学。野原の花の汁で作った青い絵の具が引き起こす騒動と冒険を描いていて、心が躍るお話だった。貧しく慎ましい生活という強固な現実の中に魔法の絵の具というファンタジックな要素を導入したところが素晴らしい。地に足をつけたファンタジーという感じ。主人公の男の子フェルコーが、魔法の絵の具を使って描いた絵が暗闇の中で光るシーンは美しい。三分の二を過ぎたあたりからの展開はダイナミックで一番の読みどころ。フェルコーが「ほんとうの空色」に気づくラストは甘酸っぱい魅力があって、読み手の心に強い印象を残す。2014/03/10
はる
59
楽しかったです。わくわくしました。が、表紙の絵とタイトルからもっと抒情的な世界を期待していたのだけれど。序盤は安房直子さんのような世界観でとても良いのに、終盤はドタバタになってしまったなぁ…もちろん、これはこれでとても面白いのだけれど、「空色のゆりいす」的なものを期待していたので。。。用務員さんは何者?2021/12/24
はつばあば
56
あぁ・・老いた。この本は戦争を知っている。人の無慈悲さと信仰も知っている。だから若い人のように賛美する言葉が出ない。空の青さ、暗がり、雨模様・・全て人が他人に対する感情を空色を通してみている。岩波文庫だから孫に・・と思ったけど読ませていいものか悩む。昔からイジメもあったし教師の質の悪さも目立つ。読み人によって受け取り方が極端に変わるかな(^^;2022/12/13
たつや
42
母子家庭で貧しいフェルコー君の不思議なお話。塗った空に本当に日が登り月や星が出るドラえもんの道具でありそうだ。小さな聖者さまから、ラストまでが大好きです。何とも夢があり、心暖まるお話でした。2016/12/14
杏子
33
貧しくて、洗濯屋の母親の手伝いのために宿題をやる暇がなくていつも学校では怠け者の席に座らせられていたフェルコー。友達から借りたあい色の絵の具をなくしてしまい、困っていたフェルコーに用務員のおじさんがきれいな青い花を摘ませてくれた。その花の汁を搾って作ったのが「ほんとうの空色」。フェルコーはその絵の具を使って、不思議な体験をする。こういう話は子どもの頃にこそ響くのかも。発想が柔軟で、自由な子どもにこそ、その色は見えるのかも? 子ども時代を過ぎる頃にはその色は見えなくなって……思い返すと懐かしくも切なくなる。2017/01/19