出版社内容情報
近代日本人の精神的支柱でありつづけた漱石の文業は,今も強く私たちにはたらきかけてくる力を持っています.先の見えない閉塞感にとらわれがちな今,漱石から学ぶべきものは決して少なくありません.1993年に刊行を開始した新しい『漱石全集』をより充実させ,ここに再刊します.
目次
講演(倫敦のアミユーズメント;趣味に就て;教育と文芸;高田気質を脱する ほか)
談話(俳句と外国文学;英国現今の劇況;批評家の立場;近作短評 ほか)
応問(夏期学生の読物;我国の演劇と演芸 其弊害及び改良案;名士と飲料;文壇諸名家雅号の由来 ほか)
感想・レビュー
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風に吹かれて
10
『本巻「別冊 上」には、「夏目漱石」(または「夏目金之助」)の名で活字として発表されたもののうち、文責が漱石にないとされる「講演」「談話」と、雑誌などのアンケートに応えたいわゆる「応問」とを収める。(「後記」p595)』。幅広いメディアから談話を求められていたことが分かる。様々な文章(言ってないことを勝手に掲載して・・・と苦言を漏らしている漱石の小言も掲載されている・・・)から、たくさんのことを学び、しかし、模倣に終わらず、しっかり個を立てることの大切さを伝えようと努めてきた漱石の姿が見えてくる。2019/02/04