内容説明
ヴェトナム戦争などで活躍した報道写真家として、またホスピス運動の先駆者として、「いのち」の現場を見つめ続けた岡村昭彦(1929‐85)。彼が追い求めた理想のホスピス像とはいかなるものだったのか。「尊厳ある死」とは何か、「長くなった死の過程」をいかに主体的に生きうるか―現代社会の切実な問いを解く鍵を秘めた岡村の思想と行動を鮮やかに描き出す。
目次
序章 岡村昭彦と「いのち」の現在
第1章 伝記の空白―思考の基点を探る
第2章 ヴェトナムからバイオエシックスへ
第3章 「ホスピスへの遠い道」
第4章 演技としての看護
終章 「いのち」を語り継ぐ場を求めて
著者等紹介
高草木光一[タカクサギコウイチ]
1956年群馬県生まれ。慶應義塾大学経済学部教授。社会思想史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ばんだねいっぺい
14
死を奪還するためにできることはなんだろうか。2016/07/04
チェアー
7
面白いなあ、岡村昭彦。ベトナム戦争の報道写真家というイメージだったが、それ以外はまったく未知。それに経歴の面白さ!根っこにあるのは反権力性だ。気を許すと自分の中に侵入する権力性をいかに振り払って生きるかという観点から物事を見直す。だからホスピスも単なる末期患者の痛みを取る施設=死なせる施設、から一歩も二歩も進んで、「死を自分に奪還する施設」に措定されるわけだ。なんか現代を先取りした(現代でも実現不可能な)考えだったんだなあ。筆者が岡村の思想を消化し、わかりやすく書いていることで理解が助けられた。2016/05/25