岩波現代全書
GHQの検閲・諜報・宣伝工作

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  • サイズ B6判/ページ数 217,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000291071
  • NDC分類 070.12
  • Cコード C0321

内容説明

戦後の日本ではそれまでの内務省による検閲に代わり、GHQによる検閲と宣伝工作が展開された。メリーランド大学プランゲ文庫やアメリカ国立公文書館など、アメリカ合衆国において完全な形で保存されてきた検閲資料を丹念に調査し、検閲組織とその実態を明らかにする。そして、朝日新聞とNHKなどの組織や、緒方竹虎、永井荷風といった著名人たちが、占領下の検閲・諜報・宣伝活動にどのように関わり、翻弄されたかを検証し、許された言語空間、奨励された言論活動とは何だったのかを問う。

目次

第1章 GHQ/SCAPによる多様な工作(CCDを通じた検閲工作;通信検閲とインテリジェンス;メディア検閲と諜報;CCDとCIAの協力関係;CIEの宣伝・宣撫工作)
第2章 通信検閲と諜報工作(重視された郵便検閲;電信・電話検閲による諜報工作;ウォッチ・リストとTOS;PPB部門と通信部門との異なる目的)
第3章 活字メディア検閲(事前検閲の開始;最初から事後検閲のメディア;事後検閲への移行の諸段階;CCD検閲の終わり)
第4章 放送・紙芝居・映画検閲(放送検閲;ピクトリアル・メディア検閲)
第5章 日本人の対応(経験語らぬ日本人検閲者;検閲優等生の朝日新聞;日本共産党メディアのプレス・コード違反事件;右翼の対応;永井荷風とフラタニゼーション)

著者等紹介

山本武利[ヤマモトタケトシ]
1940年愛媛県生まれ。一橋大学商学部を卒業後、同大学大学院社会学研究科に進学。歴史学、社会心理学を学ぶ。早稲田大学名誉教授。一橋大学名誉教授。現在、「20世紀メディア情報データベース」を運営するNPO法人インテリジェンス研究所理事長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

やまやま

13
今のロシアや中国の国内情報管理を言論の大変な抑圧と考えるならば、占領期日本におけるそれも引けを取らない恐るべき状況であったといえよう。ただ、統治のための政治による暴力使用は、日本国内では大きな規模にならず(60年安保でも70年安保でも、内乱にはならず三島由紀夫の心配は杞憂に終わった)、内外とも平和の利益を享受でき、アイデンティティを上手く変更できた点は「生き延びる」という点で評価できるのではと感じた。もちろん、著者の主張は真っ当で、歴史は事実に基づく分析なのであるが、非常に複雑な感慨を覚えた。2022/06/16

coolflat

11
戦後の日本ではGHQによる検閲と宣伝工作が展開された。その中心の組織は、CCD(民間検閲局)とCIE(民間情報教育局)である。CCDは検閲工作を通じて、日本人の秘密活動を摘発し、諜報を入手し、メディアのコンテンツを統制する機能を持っていた。CIEはメディアや教育活動を派手に変革させる直接的な統治機関であった。CCDは非公然の機関、CIEは公然の機関という特性を利用し、GHQは日本人の思想改造・行動操作を行ったのである。因みに検閲者の9割強は日本人雇用者であった。現在においても検閲の全容は解明されていない。2014/06/13

ぼのまり

6
戦後のGHQによる情報統制、検閲と日本のメディア、著述家の対応例などに関してまとめられた1冊。実際の検閲作業がどのように行なわれたかなど、著名人、新聞などの具体例が記述されており、興味深い。自分の書いた文章は時を経て自分で復活さできるようにしていた永井荷風の対応は先見の明あり。今の日本では検閲による情報統制は表向き存在しないが、いつ自分の書いた文章が抹殺されるとも限らず、このような姿勢は大いに参考にすべきように思う。2013/08/26

ななっち

4
GHQが大規模な検閲を行っていたというのは江藤淳の本などで知ってはいましたがその徹底ぶりに驚かされます。また、一定期間が過ぎれば情報を公開するというアメリカの情報公開制度が賛美されていますが、この当時の不都合な資料については相当廃棄されているということで、国家が情報を管理するということの難しさを感じますね。2014/03/17

おい

2
根拠を積み上げた資料集。読み物としてはつまらないかもしれないが、資料としては纏まっている。 ★★★2023/05/08

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