出版社内容情報
故郷の島で余生を送るかつての大賢人ゲドのもとへ，ハンノキという壺直しのまじない師が訪れ，物語は再開する．ふたたび緊張が高まるアースシー世界を救うのは誰か．大人のための〈物語コレクション〉版，待望の5冊目．
内容説明
太古の風のなかで静かに余生を送るゲド。アースシー世界で、「人間」と「竜」は共存できるのだろうか。魔法使いゲドの生涯。
著者等紹介
ル＝グウィン，アーシュラ・Ｋ．［ルグウィン，アーシュラＫ．］［Ｌｅ‐Ｇｕｉｎ，Ｕｒｓｕｌａ Ｋ．］
１９２９～。アメリカの作家。主に、ＳＦ作品を執筆。「ゲド戦記」シリーズは、三部作として出版した後、１８年を経て第四作『帰還』を発表し、フェミニズムの視点からも話題を呼んだ
清水真砂子［シミズマサコ］
１９４１年、朝鮮生まれ。青山学院女子短期大学教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
63
まだ語られていなかったことが語られていきます。ゲドとテナーと共にいたテハヌーの正体やその後が気になっていたのですが、それにしっかり答えてくれました。竜と人間の因縁もこの物語を通じて語られます。愛と友情が深く描かれているので、これが本当の完結なのかなと思いました。世界はすっと閉じますが、今までの物語の面白さを総括しているような気がします。2015/07/14
Die-Go
42
追悼ル=グウィン。主人公はハンノキと言うまじない師。愛妻と死に別れ、夜な夜なその妻や師匠に死の世界へと誘われる悪夢に悩まされていた。そして、その解決をするためにゲドの元に訪れる。 アースシーの世界観を見事に体現し、きれいにまとめられている。外伝を先に読んだので、アースシー世界もこれにておしまい。『風の十二方位』に短編が掲載されているが、２度とこの世界が更新されることはないのが寂しい。★★★★☆2018/02/08
NAO
24
ゲド戦記５。『帰還』で登場したテハヌーの正体が明かされ、竜と人間の因縁も語られる。『帰還』ではまだゲドが動いているが、この巻では、ゲドは島から動かず、ほとんど出番はない。『帰還』のときから思っていることだが、これでは『ゲド戦記』ではないんじゃないか、と。もっと違うシリーズ名ならまだ納得もいくのだが。３巻で完了していた話に１０年経って『帰還』が書かれ、さらに１０年経って本作が書かれた。その時間が、３巻までとそれ以降の作品の間に溝を作り、グゥインはその溝を埋めきれていないと私は思う。2015/08/07
ホンダ
10
もともと最終章だった前作「帰還」の終わり方は、亡霊たちは西の果てに閉じ込められたまま？テハヌーの正体は？など決着がつかないままで、少しモヤモヤした終わり方だった。それから約10年後に執筆された本書が正真正銘の最終巻とのことで、作品世界の謎が次々と明らかにされていく。1作目から30年以上を経てローク学院やカルカドの描き方も随分と変わったが、作者の思想の移り変わりを反映しているのだろうか。アースシーの世界が解放され、登場人物たちも昇天や旅立ちといった形で永遠の別れをするいう切ないラストで物語の幕が下りる。2020/10/12
Die-Go
10
迂闊にも最後の最後で盛り上がりを流し読みにしてしまったため、イマイチ感が否めず。読者側の問題ですな。外伝を先に読んでおいた方が良かったか。★★★☆☆2015/05/01
