出版社内容情報
関係論的な権力観から,空間論的な権力観へ.この転換の意味,従来の権力観の限界を明らかにし,国家以外の多様なる権力空間における,様々な権力現象の考察を通して,普遍性や解放のドグマに代わる,自由な実践の可能性を探る.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
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12
最初は思考していく材料として極めて良書だと思った。最後の方は難しかった。基本文献を当たっていないとついていけないレベルだった。フーコー、マルクス、アーレント、ニーチェ、ヴェンヤミン、デリダ、ホッブズなど縦横無尽に繰り出してくるので想像力を働かせて読んだ。この権力という概念は広大で荒唐無稽で幅広く神秘をあまねく感じるトピックである。「権力」なき関係性など存在するだろうか?かつて、無を追ったのは、自らに宿る権力を無化しようとした愚行だったなど、色々な思索とともに読書した。卒論で扱ったら面白いだろうなと感じた。2025/01/01
白義
11
単純な権力の実体化を避け、フーコー的なミクロのネットワークとしての権力を軸に、権力という現象を深く語った秀逸で濃密な入門書。主体同士の権力関係から、主体をも作り出す空間権力まで考察を進めていき、解放の困難さ、不可能性から具体的な場での実践、変容を目指していく。アレントやシュミット、グラムシにベンヤミン、ラクラウらの権力観が平易に語られていて、政治学と現代思想の幸福な融合といった感じ。薄いけど新書数冊分くらいの濃さがある。権力と自分自身の関係をどう捉えるか、権力といかに向き合うかを考える上で、必読の本2011/10/26
またの名
10
権力を持つAが働きかけてBを従わせるというシンプルな図式においても、権力者Aの意図や欲望は具体的な内容を持ってるのか等と疑える問題から議論を開始。意図や意志をはっきり持った主体を想定する自由主義も悪人感が凄い権力者像を抱くマルクス主義もイマイチとみなす本書は、結局フーコーの多元的で中心のない権力観に依拠。強大な権力を名指すほどその指摘行為が余計に権力を強化する論が今でも有効には見えるけど、現実には一人の専制的権力を立てて忖度し続けるヒエラルキーがなお実在するし、批判されてるラクラクは左翼復興でかなり元気。2019/07/06
Arowana
9
ルソー・ホッブズから構造主義(特にフーコー)、米現代思想(リベラル・多文化主義など)を中心にわかりやすく解説されており、おおまかに復習するのに役立つ仕様になっていますが、紙面の都合上全てが網羅されているわけではありませんのでお気をつけ下さい(例えばルーマンの予期理論などは無記載です)。2013/09/14
void
4
【★★★☆☆】権力構造を、主体間(A→B)で捉える伝統的なものから、アクターが複雑化し不明瞭に分散している、場として捉える見方の必要性が基本テーマだが、両者とも美点・欠点をバランスよく記述しているし、細部も参考になる。共和主義とナショナリズムが(国民・血といった)継続性で類似していることや、そういった共和主義の安定性に比べてアーレントは時々のactionに力点があるという違い、「自由主義」は権力を抑え否定しようとせんがため、一元的な権力(敵)が固定化・強化されるという側面…。2013/09/02