出版社内容情報
19世紀後半以降のメディアの発達は，現代社会の成り立ちにどのような影響を与えたのか．国民国家形成の歴史に，出版・新聞・映画・ラジオ・テレビの発展を位置付け，英米独日の各国を時系列的に比較する画期的なメディア史．
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
富士さん
7
メディア学の大物としての佐藤先生の存在は当然知っていましたが、何だか直球のメディア学の本は避けてきました。しかし、古本屋で偶然手に取って衝撃を受けました。本書はタイトルのとおり、メディア学ではなく、あくまでもメディア史の本ですが、他が比肩し得ないメディア学の教科書です。特に、1章は出色の出来で、これほどまでに明瞭かつ簡潔にメディア学を俯瞰した論はないと思います。それに、先生の本分である詳細なメディアごとの具体な歴史研究が続き、入門として最良なだけでなく、ふと立ち戻っても新しい発見のある、超名著でした。2022/04/13
КИТАРУ МУРАКАМУ
4
もはやSNSがここまで発展した場合、あえて「メディア」という存在について問うことは不毛なのかもしれない。新聞にテレビ、あるいはインターネットを含めて、わたしたちの生は外部の情報と強くリンクすることで成り立っている。その状態が何を意味しているのか、そのこと自体に強く関心を持てば、きっとこの本は重要な一冊になるはず。活版印刷、新聞、ラジオ、映画の社会学的な意味づけを丁寧に、その一般的な意味から地域的な発達を、本書では筆者の専門のドイツを中心にアメリカ、イギリス、日本まで幅広く扱っている。2012/03/08
本命@ふまにたす
3
主に20世紀のメディア史に関する教科書。理論的な背景を意識しているのと、イギリス、アメリカ、ドイツ、日本の各国についてそれぞれ具体的に検討しているのが特徴か。2022/10/21
ぽん教授（非実在系）
3
20世紀の大衆化社会そして総力戦の状態化＝総力戦体制の確立＝現代のマスメディアの成立条件で、戦後日独であれ連合国であれ今だ戦時体制をベースにマスコミ各社や映画産業などが成立しているという意地の悪い指摘や「「ユナイテッドネイションズ」を国際連合と訳すような我が国にリアルポリティクスの感覚はない」「マクルーハン主義者だけが今進歩主義を信じることが可能」「ネット社会とは個人の自立こそ前提でその重さに屈したり自立した聖なる王/神に騙される可能性がある」「共生と言いながら抑圧と化す」という不気味な予言に満ちてる。2016/09/23
子音はC 母音はA
2
米、日、独、英の近現代のメディアの成り立ちと受容を同時表軸に於いて比較する。各国ともメディアの発達とともに国民国家が形成されていく様が浮き彫りにされる。ただ、１０年以上前の著作なのでインターネットについての言及はほどほどに収めて後学に譲ってある。 2014/07/18
