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出版社内容情報
戦時中、満洲で中国人女優として活躍した李香蘭、敗戦後は日本に帰国し日本人として活躍をする。「彼女」が残した自伝と様々な資料を突き合わせて浮かび上がってくる、戦中戦後を貫く新しい「彼女」の姿を描く。
内容説明
伝説の女優・李香蘭と山口淑子、終戦を挟んで何が断絶し、何がつながっているのか。彼女が多く残した自伝で語らなかったことはあったのか。新資料を基に、神話を乗り越え、全く新しい李香蘭像を描く。
目次
第1章 「李香蘭」誕生と「父」たち
第2章 幻の『支那の夜』を求めて
第3章 『私の鴬』とロシアン・コネクション
第4章 上海映画と彼女
第5章 「李香蘭」―暴露と神話化の欲望
第6章 田村泰次郎と彼女
第7章 「シャーリー・ヤマグチ」の誕生
第8章 「ノグチ・ヨシコ」の誕生まで
第9章 赤狩りのアメリカと彼女
第10章 香港映画の「李香蘭」
著者等紹介
川崎賢子[カワサキケンコ]
東京女子大学大学院文学研究科修了。博士(文学)。文芸評論家、立教大学特任教授。主な著書に『彼等の昭和―長谷川海太郎・〓二郎・濬・四郎』(サントリー学芸賞、白水社、1994年)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
52
「全く新しい李香蘭像を描く」とカバーにあるのだが、読み終わって思うのは、混迷の深さである。自伝によってイメージされる像と、未解明の部分が著者によってぞくぞくと発掘された、複雑すぎる実際との差異。自伝から語り落とされた歴史の謎こそ、これからの課題なのだろう。フィルムが散逸しているという、戦後に主演した香港映画も見たいと思う。歌だけはCDで聴ける。2019/06/08
Rico_bosin
2
女優兼歌手として,国際政治の渦中で課せられた役割について,李香蘭/山口淑子は過小に評価されてきたのではないか。李香蘭の神話は,より巨大な何かを隠す作用を果たしてきたのではないか。神話のベールを本人の残した証言と一次資料の齟齬を丹念に検証し剥いでいった本書により現れるのは,香港・台湾・東南アジアにまで広がる華人社会の大スタアとしての李香蘭であり,「父たち」を初めとする人脈の過剰なまでの豊かさ・複雑怪奇さであり,謀略に満ちた国際政治の「謎」であったりする。彼女は何者だったのか。読み終えた今も慄然としている。2019/04/12
貴船綏子
0
山口本人の話というより、各時代の映画業界の事情や周囲の人物達の動きについての記述がほとんどでそこから「〜かも」に持って行くだけのように見える。今更新資料もないだろうし。さして知らずに観たドラマの段階でも、この人の親や実家って金持ちそうだし母親はあの当時で女子大卒、はっきり描かれないけど何物?って感じだった。そういう事も結局わからないしね。現代風に言うなら父親は毒親だな。2023/12/12
サトル
0
神話となっている李香蘭の生涯を克明に綴り「もう一人の彼女」を浮かび上がらせる評伝なのかと思ったが、残念ながら期待はずれの内容だった。あとがきで触れているように、激動の昭和史の中で李香蘭から山口淑子、シャーリー・ヤマグチへと変わってゆく姿を捉えようとすれば、それは壮大なミステリーとなって、ひとつ読み解くほどに新たなミステリーとなってゆくのかも知れない。李香蘭に流暢な中国語を教え中華民族の魂を植え付けた父親の存在がやはり永遠にミステリーだ。神秘に満ちているほど女優は伝説となって人々の中に生き続けるのだろう。2021/10/29