内容説明
「プーチンの時代」とはロシアの市民にとってどういう時代なのか。議会、内閣、軍、そして地方政府からメディアまでを掌握し、今や絶大な権力を持つに到ったプーチン大統領。その支配のメカニズムと内在する問題を明らかにしつつ、劣悪を極める生活インフラ、破綻した行政サービス、相次ぐテロの恐怖、さらには形骸化した法支配、癒着した政財界の専横の下で、「慈父たる皇帝」にすがるほかない市民生活の実像とゆれ動くかれらの意識を、綿密な聞き取り調査から浮き彫りにする最新のロシア論。
目次
序章 「皇帝」プーチンに直訴する人びと
第1章 「皇帝」プーチンの登極―「官」「軍」「民」が支える「帝政民主制」
第2章 プーチンの行政革命―連邦支配の強化策
第3章 公共性をめぐる葛藤―脆弱な生活基盤
第4章 法支配の形骸化―地方役人に追い詰められる住民
第5章 政財界の癒着―諦めの淵に沈み行く住民たち
終章 両刃の剣を操る「皇帝」―ポピュリズムの強さと脆さ
著者等紹介
中村逸郎[ナカムライツロウ]
1956年、島根県生まれ。学習院大学大学院政治学研究科博士後期課程単位取得退学。モスクワ国立大学、ロシア科学アカデミー「国家と法研究所」に留学。島根県立大学総合政策学部助教授を経て、筑波大学大学院人文社会科学研究科助教授。政治学博士
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感想・レビュー
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lovemys
9
政治や行政システムなどが詳しく書かれていて私には難しかったが、それでも驚くようなことがたくさんでした。こうやって法に守られることなく、行政システムが破綻している国の国民は、何を頼りにすればいいのか。驚くべき住環境、驚くべき人間関係。この国に生まれたら、ちょっとの事では驚かないだろうな。国が広く多部族で構成されているため、一律に何かを普及させたりするのが難しいのかもしれない。何をするにも、時間と気力がないとできないね。2022/12/06
takao
2
ふむ2024/02/09
ワッキー提督
0
2000年代前半のロシアの政治状況を市民の視点から描写し考察した一冊。2012/09/29
ahchan_plus
0
制度や政体について論じるだけでなく、ロシア市民の生活の実態や実感を詳しく記述しているのが興味深い。著者の講義を受けて著者本人を知っているからこそおもしろいと感じるのかもしれないと思う部分もあり。。2011/11/17
ずみ
0
再読。ドキュメンタリーのようで面白い。学術書にしては読みやすく、主張もすんなり理解できる。が、ん〜、論点が分かりにくくなった部分もあり、理解のためにノートを使って整理しなくてはならなかった。2011/10/18