禅入門―カトリック修道女の歩んだ道

マキネス，イレーヌ【著】〈ＭａｃＩｎｎｅｓ，Ｅｌａｉｎｅ〉/堀澤 祖門/石村 巽/吉岡 美佐緒/田中 正夫【訳】

岩波書店（2009/09発売）

• サイズ B6判／ページ数 201,／高さ 20cm
• 商品コード 9784000236867
• NDC分類 188.8
• Cコード C0015

内容説明

いかに坐るのか、何と出会うのか、どのように生き、どこへゆけばよいのか、もう一つの霊的実践のかたち。異なった光に照らされた悟りの真実とは。

目次

第１章　身体を静めて調和に至る
第２章　心を静めて調和に至る
第３章　神の息吹
第４章　修行、いま・ここ、禅の道程
第５章　坐禅に伴う現象と定力
第６章　禅の種類とさまざまな祈り
第７章　禅の目的
第８章　公案と相見について
第９章　真実の自分を求めて
おわりに　現代の霊性

著者等紹介

マキネス，イレーヌ［マキネス，イレーヌ］［ＭａｃＩｎｎｅｓ，Ｅｌａｉｎｅ］
１９２４年、カナダ・ニューブランズウィック州のモンクトンに生まれる。マウントアリソン大学、ニューヨークのジュリアード音楽院などで音楽を学び、ヴァイオリニストとなる。５３年、聖母宣教者修道会に入る。宣教のため、６１年に来日、禅仏教と出会う。臨済禅、さらには鎌倉の三雲禅堂にて修行し、見性。８０年に嗣法、カナダ人・カトリック尼僧としてはじめての禅師家となる。７６年に、宣教師としてフィリピンにわたり、マルコス政権下の政治犯たちの救援と禅の指導を行う

堀澤祖門［ホリサワソモン］
１９２９年生まれ。天台宗大僧正。比叡山延暦寺一山泰門庵住職。京都大学在学中に出家得度、比叡山にて１２年間の篭山行を行った後、インドを遍歴して新しい仏教運動に触れる。帰国後、居士林道場にて在家者の指導をし、現在は叡山学院院長として後進の教育にあたる

石村巽［イシムラユズル］
１９３５年生まれ。慶應義塾大学名誉教授。京都大学医学部卒。医学博士。慶應義塾大学医学部教授、テキサス大学教授、日本生化学会会長を歴任。アメリカのサン・アントニオ市より名誉市民の称号を受ける。現在は、子どもの科学教育と認知科学の研究に専念している。生化学・分子生物学を専攻、関連分野に研究論文と著書多数

吉岡美佐緒［ヨシオカミサオ］
精神科医。京都大学医学部卒業後、北野病院神経精神科勤務を経て、２００５～２００７年、ロンドン大学精神医学研究所・モーズレイ病院の摂食障害ユニットに留学

田中正夫［タナカマサオ］
１９４７年生まれ。シヴァナンダ・ヨーガ教師。本書の著者シスター・イレーヌと共にＦｒｅｅｉｎｇ　ｔｈｅ　Ｈｕｍａｎ　Ｓｐｉｒｉｔに参加。トロント近郊の刑務所でヨーガ・クラスを教える（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー

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[amanon]

図書館で何の気なしに手に取った本書がカトリックの修道女によるものだと分かってかなり驚かされ、また同時に大いなる興味を持って読了することに。正直言って今の生活環境の中で、本書で述べられているような座禅を実行することはかなり困難である。しかし、ここで示唆されるキリスト教と禅、言い換えれば西洋文化と東洋文化との邂逅には大いなる可能性を感じさせる。おりしも宗教の衰退が危惧される昨今にあっては尚更。また、エックハルトやモーリヤックなど個人的に思い入れのある著述家への言及があったのにも興味を惹かれた。中身の濃い一冊。

2015/07/06

[メルセ・ひすい]

キリスト教の修道女が30年間禅の修業をし、光雲庵になるまでの評伝。仏教、神道の懐の深さと逆にキリスト教教会は僧正を仏教徒のまま受け入れない傲慢さを考えずにはいられない。　小沢幹事長じゃないけれど・・・・　懐が深いのは神道かも　とにかく政教分離は当然であり、為政者の宗教は禁忌事項である。

2009/12/06

[マサトク]

「カトリック修道女の歩んだ道」とある通り、キリスト教徒でありつつ、禅（とくに坐禅）の修行をし、見性すら得たという著者の手による禅入門書。キリスト教と仏教、という観点で、差異をピックアップするものではなく、キリスト教者にとって禅の修行はどのようなものであるか、が丁寧に描かれている。「いま、ここに集中する」（即今底を尽くす）というところに立ち戻るその立場は、当たり前だけどじつに禅的で、変わらないんだなということを思う。（鎌倉の三宝教団というのは初めて知ったが）「禅」は、宗教の枠を超えうるか。良書。

2018/12/24