内容説明
『現代哲学』『理由の空間の現象学』などの著作において、自然主義的な哲学の潮流に抗し、現代における“哲学”の独自な存在意義を主張してきた哲学者の最新論集。本書で著者は、改めて“哲学”とはどのような営みであるのか(第1部)、現在、哲学が取り組むことを求められている課題にどのように答えるか(第2部)を、わかりやすく描き出す。それをうけて、第3部では、著者自らの哲学的立場、“全体論規範主義”の立場を、積極的に提示する。各部の冒頭には議論の要旨を付し、初学者を含む幅広い読者の理解を助けるものとした。ニーチェが予言した「囲い」のうちで逼塞しつつある現代哲学に、そこからの解放の道筋を示す。
目次
1 語りえぬもののために―哲学とはなにか(ダイモーンの声を聞く―哲学書を読む;世界の閃き―世界の神秘に答える;言葉の厚みとしてのコンテクスト―哲学の言葉の翻訳)
2 多文化主義時代の倫理―哲学に求められているものはなにか(対話「有限の全体性」とその外部―多文化主義時代の合理性;こわれものとしての道徳―道徳上の運について;批判としての分割―多文化主義と同一性の罠)
3 反自然主義のもう一つ別の可能性―哲学はどこへ向かうか(ニーチェの「囲い」に抗して;知覚経験の規範性;存在論・プラグマティズム・テクノロジー)
著者等紹介
門脇俊介[カドワキシュンスケ]
1954年、北海道生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。山形大学を経て、東京大学大学院総合文化研究科教授。哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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