内容説明
誰の、何についての学力が低下したのか。児童・生徒の家庭的背景や教師による指導のあり方はそれにどう反映するのか。学力における二極分化が進むなか、社会政策の一部として教育政策をとらえ直す場合に重要なのは、平均としての学力の変化に注目することではなく、どのような背景をもった子どもたちの学力に変化が生じているのかをみることである。学力の実態と階層の関係を明らかにした画期的大規模調査(2001~2002年)を満を持して総括し、今後の展望としての「効果のある学校像」を模索する分析・論考を集めた。
目次
「学力調査の時代」―なぜいま学力調査なのか
第1部 個人の学力と学習(教育課程行政と学力低下―関東調査による検討;「学習遅滞」と「学習速進」はどこで起こっているか;教科領域別の学習達成度の変化(中学校編)
学ぶことの意味―「学習レリバンス」構造のジェンダー差異
教室の授業場面と学業達成)
第2部 学力と社会(「学力」の階層差は拡大したか;学力の規定要因―家庭背景と個人の努力は、どう影響するか;ポスト学歴社会における学習意欲と進学意欲;誰が落ちこぼされるのか―学力格差がもたらす排除と差別;低学歴克服への戦略―「効果のある学校」論の視点から;戦後初期に「学力」の「低下」が意味したこと―<学力調査>から戦後新教育の批判へ)
著者等紹介
苅谷剛彦[カリヤタケヒコ]
東京大学大学院教育学研究科教授。教育社会学
志水宏吉[シミズコウキチ]
大阪大学大学院人間科学研究科教授。学校臨床学
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