出版社内容情報
物体の運動や空間・時間といった物理の概念は数学的にいかに定式化されるのか.物理法則の真に意味することを理解するための好著.
内容説明
力学は空間の中で時間の推移とともに運動する物体を研究する。それでは「空間、時間、物体、運動」とは何か。本書では古典力学における「空間、時間」をアフィン空間の概念を用いて定式化し、空間に「置かれた」物体を、測度空間から時空への可測写像と解釈し、ニュートンの運動法則を定式化する。物理学に広く用いられる、ベクトル解析と重力場・電場・磁場のもとでの運動についても解説する。
目次
1 空間と時間(アフィン空間;アフィン空間の向き ほか)
2 物体―質点系(質点系;慣性中心、慣性モーメント)
3 運動(運動方程式;常微分方程式 ほか)
4 ベクトル解析からの準備(勾配、発散、回転;曲線、曲面に沿う接ベクトル場)
5 重力場、電場、磁場(重力場;超関数とポアソンの方程式 ほか)
著者等紹介
砂田利一[スナダトシカズ]
1948年生まれ。1972年東京工業大学理学部卒業。現在、明治大学理工学部数学教室教授。専門は、大域解析学
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感想・レビュー
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まじぇすた
5
著者の考えを整理した数学ノート。数学記号や概念の定義のオンパレードで、必要最小限の文章のみの説明はいかにも数学のテキストだが、救いは物理を意識した例題や説明があることだ。さらに、コラムにそれらの重要性がさらりと書いてあり、これが面白かった。読んですぐに開集合が出てきてまたつまずくが、ニュートンの運動方程式を中心に据えて、重力場、静電場、静磁場をポアソン方程式として綺麗にまとめるあたりに数学的美しさを感じた。読み始めてすぐに質量を測度として捉える点が特徴的。ベクトル解析とポアンカレの補題を復習せねば。2014/10/04
wintQ
2
力学で出てくる種々の概念を数学的に表現するとどうなるのか? そういった興味から読み始めた。 そしたら、案の定、途中から数学の知らない表現が出てきてしまってつまづいた。 けれども、内容は新鮮だったので、もう少し数学に慣れたら読み直そうかなと思う。 数学に不慣れな人にはたぶん読めないと思う。 2010/01/30
PapaShinya
0
本書は、物理の理論を数学的側面から整理して捉えなおす”物の理 数の理”シリーズ5冊の中の最初の1冊。数学者が書いた物理数学の本・・・みたいな感じ。しかしなぜ、普通の物理の本に書かれている、わかりやすい形式を捨てて、こうした表現を?そのご利益は?その答えは、風の中さ・・・じゃなくて、読んでみないとわからない。ハーシュ・スメールまたはアーノルドへの入口として、頑張ってみよう。2022/08/29